テレビに、石黒豊が出て記者会見している様子が流ていた。高卒メジャーリーグ挑戦と書かれていた。
「夏の大会で塩見洋君に勝って甲子園で優勝します。」
俺の名前を出すなよな。兄妹で、迷惑なんだよ。あぁ、部活行きたくねぇ。
俺は、学校をサボった。
部屋に、引きこもって映画をずっと観ていた。
夜になると伸二が家に来た。
「逃げるなよ、洋。」
学校は、大騒ぎだったらしい。マスコミが来て。
塩見を出せと。
「逃げるさ、あんな名指しで名前言われたら 。」
「分かるけどよ、俺も大学からスカウト受けてるんだわ。」
伸二なら真面目だから大学で活躍出来るだろう。
「良かったじゃん!」
「条件があるんだよ。夏の甲子園出れたらって話しなんだよ。」
何じゃあそりゃ?
「だから、俺に、学校に出て来いって話か?」
「そうだよ!妙子と同じ大学行きたいんだよ。妙子は頭良いから推薦で入れるけど俺は野球でしかはいれん!」
分かったと一言返した。
一人になって伸二の必死な顔を思い出していた。仕方ねー相棒の為だ。明日から学校行くか。
スマホに、麻衣子からの電話が来た。
「この電話は、現在使われておりません!」
と鼻を摘んで言った。
「先輩、バレバレですよ。」
「何だよ?」
と面倒くさそうに聞いた。
「宣戦布告ですね。お兄ちゃんからの。」
「兄貴に受けて立つって言っておけ!」
と電話を俺は切った。