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第43話 バカだな

麻衣子は、滅多に泣かないが悔し涙を流していた。そんな時に洋と伸二と会ってしまった。廊下で。洋は、伸二に先に練習を行くように言った。 


「石黒、ロードワーク付き合え!」 


と洋は、麻衣子に言った。


麻衣子は、自転車に乗って洋と並列するように走った。マラソンランナー並みに洋は走るのが早かった。麻衣子は、全速力で自転車を漕いだ。学校から遠く離れた海で一休みした。


「で?何かあったのか?」 


とおもむろに洋は麻衣子に聞いてきた。


麻衣子は、勤とのやり取りを話した。


「バカだな。」


と洋は呟くように言った。


麻衣子だって分かってる勤が独裁者ぐらいは。


「わたしは、どうせバカですよ。」


と麻衣子は少し拗ねた。


「ちげーよ。監督がバカだって言ったんだよ。」 


麻衣子は、ハッとした。洋はわたしの事をちゃんと分かってくれている。


それから海を暫く見て学校に戻った。


「石黒、信じた道を行けよ。」


と洋は最後に言った。


麻衣子自身は、気が付いてなかったがこの瞬間に洋に恋していた。


俺は、エースナンバーを取り返すと逆境に強い洋は燃えていた。スカウトの古参が話しかけて来た。


「治にエースナンバー奪われたな。」


「はい。実力でね。」 


と洋は答えた。


「あの監督は、バカじゃねーぞ。」


「知ってます。」 


とウォーミングアップを洋は始めた。


「治は、バカだけどな。あんなに力抜いて練習してたら夏の大会持たねーな。」


洋は、何も答えずにブルペンに入った。






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