治が、他校の生徒と喧嘩した。春の選抜は絶望的になった。監督は、夏の大会に全て賭けようと全部員に伝えた。監督は、責任を感じていた。そして辞表を出した。監督不在となった。麻衣子が、石黒豊の高校でコーチをしていた高橋勤を連れて来た。勤が監督になった。
「エースは、治だ!」
と耳を疑う言葉を口にした。
勤は、独裁者だった。
洋は、控え投手になった。
しかし、洋は、腐らずにロードワークを続けている。
「塩見さん、悔しいですか?」
と麻衣子に聞かれた。
「控え投手も、チャンスはある。」
と洋は、あっけらかんと答えた。
練習試合で、治は躍動した。
五戦負けなし。抑えは洋がした。
治は、スタミナが無く八回に打線に捕まる事がある。そこで洋が抑えで出される。洋は、パーフェクトピッチングをした。治は、洋を憎むようになった。
スカウトは、相変わらず洋にしか、声がかからない。
「エースは、俺やで。」
と治は麻衣子に愚痴る。
「あんたは、スタミナ不足!バーカ!」
と麻衣子は答えた。
何やねん、俺がエースなのに誰も俺を見てない。ムカツクわ!洋さえいなければ!
麻衣子は、密かに洋に想いを寄せるようになった。もしかしてお兄ちゃんに勝てるかもしれない。麻衣子は、勤に直談判した。
「塩見先輩をエースに戻して下さい!」
「ただのマネージャーがじゃかしいわ!」
と怒鳴られた。