目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第40話 華

光が打つホームランの放物線は美しい。麻衣子は、練習試合で思った。伸二は、四番バッターから五番になったが、文句や愚痴を口にはしなかった。天才バッターに脱帽してしまっていた。


「光、野球は楽しいか?」    


と俺は聞いた。


「楽しいです。」


と光は答えた。


四番バッターでファースト。光は、ホームランだけでは無くヒットも巧みに打てた。しかし、麻衣子にぞっこんなのが心配だった。麻衣子は冷たい女だ。野球人としての光しか見ていない。


俺は、麻衣子の助言でロードワークをして下半身を鍛えている。俺は体幹トレーニングも取り入れた。コントロールを良くするためだ。


毎日、伸二相手に投げ込みを重ねた。


石黒豊のビデオも見て自宅で研究している。真似してみるしかない。上手い人間の真似をする事が一番良いと考えた。ビデオは、麻衣子に借りている。麻衣子は各部員に的確な目標を持たせて達成するように指示した。まるで監督のように。


秋から冬に季節が変わる時、俺は麻衣子に質問した。


「石黒、お前から見てチームはどうだ?」


「まだまだですね。」


としか答えが返ってこなかった。


ここ最近の練習試合では負けなし。無双状態だ。


「塩見先輩は、お兄ちゃんに勝ちたいですか?」


「ああ!」


と俺は麻衣子に答えた。


「じゃあ、もっと練習して下さい。」


と素っ気ない。麻衣子はそれで良いと思った。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?