春夏連覇なんてあり得ない。俺達がいるからな!
俺の、高速スライダーもフォークもホームランされた。
春は、俺達がいなかったから優勝出来たんだよ。
俺達は、夏の予選決勝戦で惨敗した。
エースで四番バッターに完全試合をされ負けた。
石黒豊に負けた。豊はガタイが大きくて大人のような完成された体格だった。
格が違った。最強はあいつらだった。夏の甲子園大会は石黒豊率いる高校が優勝した。
テレビでその勇姿を見て甘かったと俺は思った。
伸二と話した。
春夏連覇は、三年生の夏に果たしてやると。
愛理に合わせる顔が無く俺は自分自身を見つめ返すきっかけになった。野球がしたい。もう石黒豊に負けたくなかった。大きな壁が俺の前に立ち塞がった。
「愛美、別れよう。」
と一言残して俺は喫茶店を出た。
俺は、愛美を好きでは無かったのだ。律子を失った寂しさを紛らわせるだけのためだった。
「洋!応援してる!」
と愛美は涙を流してサヨナラしてくれた。俺は、バイクに黙って乗って涙を流した。ありがとう愛美。
俺達、野球部は屈辱的な敗北を味わった。打倒、石黒豊を掲げて練習に明け暮れた。
そんな時に、新しいマネージャーが入って来た。石黒麻衣子。石黒豊の妹だった。背が高く高飛車な女だった。しかし、美少女だ。
「お兄ちゃんには、勝てないよ。あんたらじゃあ!」
と言い放った。自己紹介で言われた。
みんな、笑った。
「やってみないと分からないだろ?」
と俺は、麻衣子に言った。