毎日、毎日、春夏連覇だと監督はうるさい。俺は、伸二と一緒に野球部を退部した。そして同好会を再開した。たくさん同好会には入りたいという人間がいた。映画研究会は映画研究部になり部活となった。校長直々に野球部に戻るよう土下座された。俺は、愛理に駅前の喫茶店で相談した。
「将来の夢的なものは、洋ちゃんにはあるの?」
アイスティーを飲みながら愛美は聞いてきた。
「無い!」
とハッキリ言った。本当に思い浮かばなかった。
「じゃあ、とりあえずバイト経験してみる事だね。」
バイトか〜社会の洗礼ってやつだな。俺は、近所の寿司屋にバイト面接に行った。しかし、一週間で辞めた。あまりにも暇すぎて仕事にならなかった。次は、工場のピッキング作業のバイト。二ヶ月間続いたが、自分が社会不適合者だと思い知らされた。持続力が欠落しているのだ。バイトの給料を映画研究部と野球部に寄付した。
「どうだった?バイトは?」
と愛美に放課後の教室で尋ねられた。
「うーん、まだ学生してたいって心底思った。」
と答えた。
「ふーん、勉強になったじゃん。」
「うん。」
俺は、校長に土下座して謝罪した。野球部と映画研究部を両立する事にした。伸二も同じだった。妙子に諭されたらしい。学生時代ってめちゃくちゃ恵まれてると痛感した。