何で、俺が王子様なんだよ?愛美の瞳がハートマークである。
「いや、帰ってから連絡しようとしたんですよ。先輩。」
と俺は言い訳。メモなんてどこいったか分からない。
「じゃあ、今、交換しましょう。王子!アミって呼んで下さい!」
と愛美は、積極的である。
「あ、はい。」
こんなに押しの強い女は初めてだ。
「あと、二人の時は敬語禁止。」
仕方無く俺は愛美と連絡先を交換した。
「王子、これからお茶でもしない?」
と愛美はすかさず聞いて来た。
「受験とか大丈夫なの?」
「大丈夫!指定校推薦が決まってるから。」
さすが、生徒会長。抜かり無しだな。
駅前の喫茶店まで二人でバイクで行った。愛美がバイクを持ってるとは驚いた。
「王子、わたしの事、忘れてる?」
愛美は、コーヒーを飲みながら聞いて来た。ん?どっかで会ってたっけ?
「うん。忘れてる。」
と俺は正直に言った。
愛美は、少し寂しげな顔をした。
「小学生の時に出会ってる。リトルリーグで。」
「ああ!アミちゃん!」
俺は、思い出した。リトルリーグ時代、俺からエースナンバーを奪った愛美。愛美は男顔負けの力を持っていた。俺の憧れの存在だった。
「アミちゃん、野球は?」
「続けてるよ。」
「マジか〜。アミちゃんならエースでしょう?」
「いや、社会人と混じってやってるから補欠だよ。」
愛美が、補欠か、信じられなかった。男の中でも群を抜いていたのに。上には上がいるな〜。