なんか〜気持ちいいな〜俺は、夢を見てるのかな?
記憶と記憶の狭間に揺られてどっちを選ぶのか迷ってるな〜。なんか誰かが俺を呼んでるな〜俺はどっちの記憶も選ぶ事にした。「塩見君!」律子の声で目を覚ました。俺は、床にカエルみたく伸びていた。
「塩見君、大丈夫?」
と律子は真顔で聞いて来た。
「うん。記憶取り戻した。」
と俺は言って頭を抱えた。
不思議と混乱は無い。白黒だった世界に色がついた状態だった。そして律子の隣で映画を静かに朝まで観た。
「今日、学校サボらない?」
「良いよ。」
と律子から意外にも許しが出た。
律子はベッドで俺は律子のひいてくれた布団で寝た。
「塩見君。」
「何?」
沈黙が、続いた。何だよ寝言か。俺は色々、ごちゃごちゃしている頭の中を整理した。俺は塩見洋。現在十六歳。彼女は檸檬?独断と優しさを兼ね備えた男。無口で根暗ではなく野球が好きで映画も好き。そんな事を考えているといつの間にか眠ってしまった。
「塩見君!スマホ鳴ってるよ!」
寝ぼけた目を擦ると檸檬から電話だった。
「風邪?」
と檸檬は聞いて来たので咳こんでみた。
「うん。風邪。明日は学校行くよ。」
と言って電話を切った。
律子は、洗濯物を干していた。外気が部屋の中に入って来て寒かった。
「どうする?朝ご飯食べる?」
律子は、窓を閉めて俺に聞いて来た。
「あぁ、うん。」
と俺は、答えた。
トーストにハムエッグに野菜。洋食なんだなと思いながらいただきますと言ってトーストを食べ始めた。
「律子ちゃんじゃないくて。」
「律子ちゃんで良いよ。記憶戻ったんだね。他の人には言わない方が良いよ。」
律子もトーストを噛りながら言って来た。
「何で?」
「今の塩見君みんなに好かれてるから。」
俺の質問に律子は即答した。
「じゃあ、二人だけの秘密?」
と俺は律子に聞いた。
そう秘密と言いながら眼鏡を取った。そこには美少女が現れた。
「わたしの事も内緒にしてね。」
と律子は言って眼鏡をかけた。
何で、隠すのか知りたかったが俺しか知らない方が良い気がした。
「映画観る?」
と律子は、聞いて来た。
俺は、頷いた。
映画は、珍しくホラーだった。家に帰ると親が心配していたが律子の家に行ってたと言うと親は何も言わなかった。律子との約束通り俺は記憶の事は誰にも言わなかった。
次の日、学校に登校していると檸檬に飛びつかれた。
「心配したんだよ!洋ちゃん。」
と檸檬は甘えて来る。何か嬉しさ半分複雑な気持ち半分だった。途中で律子にも会って三人で登校した。律子は相変わらず無口で野暮ったい。眼鏡を取れば美少女なのに。あぁ、秘密だったな〜。