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第20話 記憶

俺は、律子と一緒にいる事が気まずくて教室を出ようとした。


「ねぇ、記憶取り戻したい?」


と律子が俺に聞いて来た。


俺は、うーんと唸って


「うん。やっぱり取り戻したいかな記憶。」


と答えた。


律子は、俺を一瞥して


「じゃあさ、夜にうちに来て。」


と言って来た。


ん?律子の家に行けば記憶が戻る?そんな上手い話があるか?そもそも律子は何を考えているのか分からない。暗いし、無口だし、映画ばかり観ている。あ!前のいや、記憶喪失する前の俺と同じだ。


「練習戻れば。」


と律子が俺に言って来た。


「うん。」


と言って俺は教室を後にした。


練習を終えて檸檬と下校した。


「あのさ、俺って記憶喪失になる前ってどんなだった?」


と俺にくっついて歩いている檸檬に聞いた。


「今と変わらないよ。明るくて優しくて。洋ちゃんはそんな感じだよ。」


と嬉しそうに檸檬は答えた。


え?檸檬が嘘を付いてるのか?律子が嘘を付いてるのか俺は真逆の事を言われて分からなくなった。


「誰かに何か言われた?」


と檸檬が聞いて来たので素直に律子に言われた事を伝えた。少し檸檬は動揺した様子だったが


「律子ちゃん、わたしと洋ちゃんが仲良しだから嫉妬してそんな嘘を付いたんじゃない?」


と檸檬はニッコリ笑って言った。


「だよね。俺が暗くて、無口で、読書好きなんて嘘だよね。」


と不安を掻き消すかのように俺は苦笑いした。


家に帰ると律子からメールが、来た。律子のアパートの住所が記載されていた。俺は、嘘を確かめる為に夜中、家を抜け出して律子のアパートに向かった。律子のアパートは外観が古い印象だった。やっぱり聞くのやめようと思っていると。


「塩見君。」


と言って律子がジャージ姿で現れた。片手にはコンビニの袋。


「こんばんは。」


と俺は動揺しながら言った。ヤバい帰れない状況になった。怖かった。記憶を取り戻すのが野球、檸檬を失いそうで。


「上がって。」


と律子は言って手招きした。


俺は、意を決して律子の部屋に入った。部屋の中は、整理整頓がされてて綺麗だった。律子は、奥のテレビの前に座った。


「お邪魔します。」


と言って俺は靴を脱いた。


とりあえず、律子の隣に座った。律子はテレビを付けてDVDをセットした。始まったのは恋愛映画だった。律子は、俺の顔を見てコンビニの袋からアイスを出して渡して来た。何か予感がした。何の予感がしたかは分からないが何か。いただきますと言って俺は、恋愛映画を観ながらアイスを食べた。デジャブ?何か前にも同じ事が、あったような。そんな事を考えていると律子が眼鏡を外した。そして俺を見た。綺麗な瞳だった。え?何?美少女?俺はドキドキして思わず律子を押し倒してキスをした。


全ての記憶の電流が脳内に走って俺はそのまま気絶した。


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