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第16話 一人になる

俺は、同好会に行くのをやめた。授業が終わるとすぐに家に帰った。部屋にこもって本をひたすら読んだ。律子や檸檬の事が頭にチラついたが自分の中に押し込めた。檸檬から電話やメールが来ていたが無視した。本を読んでると冷静な自分に戻れる。現実は殺伐としていて誘惑に満ちている。俺は、そんな日々を送っていたが寂しくなると波子の家に行った。波子は、いつも笑顔で向かえてくれた。波子には素直に正直に本当の事を話せた。律子、檸檬、野球の話しをした。


「洋ちゃんは、律子ちゃんの事が好きなんだね。」と波子に俺は言われた。 


「そうかもしれない。」と正直に吐露した。


律子の美しい瞳を見た時、理性を失った。律子がコンタクトにして学校に来たら一躍、美少女と周りは騒ぐだろう。しかし、律子は眼鏡をかけて大人しくしていた。律子の気持ちが知りたくなった。


「洋ちゃん、律子ちゃんに告白してみれば?」


と波子は優しく言ってくれた。


俺は、家に帰って夜に律子に電話した。緊張で頭がクラクラした。


「あ、塩見君。」


といつもの律子の声だった。


「久しぶり。」


と俺が言うと毎日会ってるじゃないと言われた。


「あのさ、中島翔太、あれどうにかして。」   


と律子は珍しくぐったりとした様子で言ってきた。「どうしたの?」


「ずっと口説いてくる。」


「え?」


まさか。


「わたしを。檸檬ちゃんなら分かるけど、何故かわたしに映画鑑賞中にずっと好きだ。付き合って欲しいって言ってくるんだよね。」


俺は、頭の中が真っ白になった。


「それは、困ったね。映画に集中出来ないね。」


と俺は言った。


「塩見君、同好会来てよ。」


と律子は言って来た。


それから翔太の愚痴と映画の話しを三時間されて律子はまた、一方的に電話を切った。俺は、焦燥感に襲われた。同好会に行かなくては!


俺は、次の日、教室に残った。律子と二人になった。


「中島翔太、そんなにヤバいの?」


と律子に小声で聞いた。


「ウザいんだよね。」


律子が表情を崩して俺に言った。


「ウザいか。」


何故か自分が言われたような気がして心が痛んだ。


「塩見君!」


と檸檬の歓喜の声がした。俺を背後から抱きしめて来た。


「バカ!心配したんだから!」


と言って来た。


「ちょっと体調悪くてさ。」


と涙ぐむ檸檬を見て俺は言い訳した。


「塩見君、来なくなってから毎日、中島翔太に言い寄られてイライラしてたんだよ!」


「え?」


律子を見るとピースサインをしている。


ハメられたと俺は思った。


そんな時に翔太が教室に入って来た。

檸檬は俺にくっついて来た。翔太は俺を睨んで来た。


「 お久しぶり。」


と翔太は一言放つと席にあからさまに不機嫌な態度で座った。


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