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第11話 初詣

唖然としている有紗は俺に、


「彼女」


と小さな声で聞いて来た。


「違うよ。友達。」 


と俺は答えた。


有紗は、納得して無い様子だったが彼氏を探し始めた。


「お姉さん、可愛い人だね。」 


と檸檬が言った。


「そう?」


 と俺は、首を傾げた。 


有紗は、やっと彼氏を見つけて腕を組んで歩いて来た。長身でスラッとしてる野性的なイケメンだった。


「こんば んは。」


と有紗の彼氏に挨拶されたので小さな声で


「こんばんは。」


と俺は返事した。 


そんな時に、カウントダウンが神社内で始まった。檸檬がスマホで俺と自分の写真を撮った。


「ありがとう。」


と檸檬は言った。


「あ ぁ、うん。」と少し俺は戸惑った。


有紗達も写真を撮っている。四人で行列に並んだ。有紗と檸檬は女子トークで意気投合していた。俺と宮本彰さんは話が弾まない。男同士なんてそんなもんだ。


「塩見君?」


と背後から声がした。


後ろに振り返ると律子がいた。ジャージ姿だった。


「律子ちゃん!」


と檸檬が律子に抱きついた。


「風邪治ったの?」


と檸檬が律子に聞いた。


「まぁ。」


と律子は言ってフラフラしている。


「顔色悪いじゃん。」


と俺は言うと律子の小さな手を取って行列から離れた。


神社に置いてある椅子に二人は座った。


「初詣行かないじゃなかったの?」


と鼻をかんでいる律子に聞いた。


「 塩見君こそ。」と律子に言われた。


沈黙が流れた。


「本当はさ、塩見君と初詣来たかったけど誘えなくて。」


と律子は呟くように言った。


俺は、ドキドキした。


「まさか、檸檬ちゃんと来てるとはね。」


と律子は俺を見つめて言って来た。


俺は、これまでの過程を説明した。


「そうなんだ。」


と律子は答えただけだった。


「俺もさ、」


と言いかけて檸檬が歩いて来た。


「律子ちゃん大丈夫?」


と律子に聞いた。


「大丈夫。帰る。」


と律子は立ち上がりサッサッと帰ってしまった。


「姉ちゃん達は?」


「何かお邪魔かと思って。」


と檸檬は舌を出して笑った。


「家まで送るよ。」


と俺は檸檬に言った。


「塩見君って鈍感だよね。」


と檸檬は言ってサッサッと帰ってしまった。鈍感?どういう意味だよ?俺は、有紗を探したが見つからなかった。


自宅に帰ると部屋の中はしーんとしていた。一郎も未知子も起きて待っていた。


「有紗は?」


と俺は未知子に聞かれた。  


「あ〜友達とまだ話してる。」  


と俺は誤魔化した。


「何で一緒に帰って来なかったの!」


と未知子はヒステリーな声を上げた。


「ママ、洋に怒っても仕方無いだろ。」


と一郎は冷静に未知子に言った。 


俺は、黙って自室に入った。


クソ!何で俺が有紗の為に怒られなきゃいけないんだよ。俺は知らないうちに律子に電話してた。


「どうしたの?」


 と律子は聞いてくれた。


俺は、久しぶりに泣いた。


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