「ちょっと!ワタクシの話を聞いてるんですのよ!?味蕾来夢!!」
〝オーヴァー・ジュリエッタ〟こと〝
この半年間、派手なメイクと悪趣味なゴスロリファッションの〝ダイヤモンドブレイカーズ〟の〝オーヴァー・ジュリエッタ〟の姿しか見てなかったから、すっかり忘れてたけど、久々に〝すっぴん顔〟と〝ジャージ姿〟のコイツを見たら
プッ!ククク!尾羽定子だから、オバサンダー!中学時代は男子たちに『おばさんのオバサンダー!』とバカにされる度に顔を真っ赤にして怒ってたわね!
あの時は(少し可哀想かも)と思ったけど、今思い出すとザマァだわ!アハハ!
「ムキキャー!何をニヤニヤしてるんですの!?どうせ、ワタクシをバカにしてるんでしょー?」
「別に〜?お客様どうするんですか〜?お帰りですか?お帰りなんでしょ!?っていうか、もう帰れ♡またのご来店をお待ちしてまーす!」
「キーッ!何で、ワタクシが店に入らない方向で話を進めようとしてやがるんですのよ!このスーパー無能店員がー!」
「無能店員ってのは、聞き捨てならないわねー!しかも、〝スーパー〟なんて付けて無駄にグレード上げないでよ!!」
「キャーホホホ!スーパーで足りないなら、〝ハイパーデリシャスゴージャスうつけ者スーパー無能店員〟と呼び直してあげますのですのよ!」
「ぐぬぬー!オバサンダーのくせに!」
「オバサンダーって言うなですのよー!」
〝ガラガラ〟
「ちょっと、オーヴァーちゃん!さっきから何やってんのよ!早く入りましょーよ!」
そう言って、オーヴァー(この半年で、この名前の方が呼びやすくなっちゃったな)に続いて、店に入ってきたのは、筋肉ムキムキの体にパリピ系女子みたいな服装とメイクした男……いや、本人いわく〝心は乙女〟のジェンダーレス生春巻だった。
「あーら♡来夢ちゃんじゃないの♡もしかして、ここで働いてたの?
「は、春巻……さんもいたんですか?え、ええ。じゃあ、こちらのお席へどうぞ」
オーヴァーだったのは予想外だったけど、元々は最後の客として席に案内するつもりだったから仕方ない。
オーヴァーにジェンダーレス生春巻、その後ろから店内に入ってきたのはベースの加藤一郎……じゃなくて、青白い顔をしてガリガリの体格に、名探偵コ〇ンみたいな服装をした見たことも無い男だった。
年齢は、加藤一郎と同じくらいだけど誰なんだろう?
あっ!そんな事気にしてる場合じゃない!これ以上、お客さんが入らないように暖簾をしまわないと!
「ワタクシは、目玉焼きハンバーグ定食ですのよ!」
「春ちゃんは、炒飯特盛と鮭の塩焼きに、味噌ラーメンの極盛りと餃子をお願〜い!あ!麺は〝か・た・め〟でね♡」
「
席についた3人のオーダーを聞いた私は、厨房の大将に内容を伝える。
「あいよ!所で、あの姉ちゃん達は来夢の友達かい?ずいぶん仲良さそうに話してたじゃねーか?」
「違いますよ大将!単なる中学の同級生です。っていうか、あの会話のどこが仲良さそうに見えたんですか!?」
「ちょっとー!ハイパーデリシャス(中略)店員さーん!こっち来るんですのよー!」
ホールの方から、忌々しいオーヴァーの声がする。
「何言ってるかよく分かんねーけど、友達が呼んでるぞ!来夢行ってやんな!」
本当は行きたくないけど、仕事なので仕方なくホールに向かう。
「オキャクサマ。オヨビデショーカ?」
まともに話すと喧嘩になるので、私は感情を押し殺してロボットのような声と態度で接客することにした。
「テーブルが汚れてますのよ!さっさと拭いてもらえますことですのよ?」
言われてみると、確かに汚れてる。
「カシコマリマシタ。オフキシマス」
私は、おしぼりでテーブルを拭き始める。
〝バシャ!〟
「ぎゃー!アチチチ!私の右手の皮下組織が真っ赤に燃えるぅー!物凄く熱いと轟き叫ぶー!」
テーブルを拭いてる最中に〝熱い液体〟を浴びせられて右手が熱くなったので、思わず某機動武闘伝の主人公の決め台詞みたいに叫んでしまった。
「キャーホホホ!ごめんなさーいですのよ!
オーヴァーの奴、私の手にお茶を浴びせやがったのか!?
この
「ちょっと、オーヴァーちゃん!来夢ちゃんをイジメちゃダメよ!春ちゃんのお願い♡」
「わ、ワザとじゃないんですのよ?ごめんなさいですの!ハイパーデリシャス(中略)店員さん!でも、テーブルを汚れたままにしとくのが悪いですのよねー?」
「その通りです!誠に申し訳ございませんでしたー!」
〝ゴチン!〟
私は、深々とオジギをするフリをして、オーヴァーの額に頭突きを食らわせてやる。
「い、痛ーいですの!な、なんて石頭ですのよー!!」
「ああ、申し訳ございません。お客様ー!ワザとじゃないんです!お客様は
「キャーホホホ!え、ええ!そうですわね!
「「キャーーホホホホホホーー!」」
私とオーヴァーの怒気が込められた笑い声が店内に響き渡るのであった……。