目次
ブックマーク
応援する
8
コメント
シェア
通報

第3曲目(3/14)ミラちゃん はじめての2025ねん! 〜死闘!?来夢VSオーヴァー〜

  「本当に、こんな小さなオモチャみたいなのが食べられるの?」


 「今こうして目の前にあるじゃろ?」


 ミラは、そう言って美味しそうにお子様ランチを食べている。


 それにしても良い匂いね!もう、我慢出来ない!


 「さっきも言ったけど、私にも1つ分けてくれる?」


 「もちろんじゃ!どれでも好きなのを取るといいのだ!」


 「ありがと!それじゃ、どれにしようかな?」


 そう言ってケース内を物色した私は、カルボナーラらしき豆粒サンプルを手に取る。


 ……とてもリアルに出来ているミニチュアにしか見えない。


 試しに指で触ってみるが、コチコチと固い。例えるなら、レストランの店頭とかに飾ってある蝋細工のサンプルを物凄く小さくした感じかな?


 「えーと、500Wで10秒チンすれば良いのよね?」


 〝チーン!〟


 10秒後。


 レンジの中には1人前の大きさになったカルボナーラが湯気を立てていた。


 「凄い!本当に大きくなった!ねえ、ミラ!この豆粒食品もベガ星の超科学アイテムの1つなの?」


  ミラは、首を横に振り答える。


 「これは、ミラ達の時代で普通に販売されてる〝超圧縮保存食品〟なのじゃ」


 「超圧縮保存食品?」


 「そうじゃ!ミラ達の時代の日本は外国の人達も沢山住むようになって、個人個人の生活スペースが狭くなってて大変なんじゃよ。その問題を少しでも解消するために複数の大手食品会社が協力して開発してくれたのだ。普段は1/100程度に圧縮されてるけど、レンジで加熱すれば本来の大きさに戻るという画期的な製品……と学校で習ったのじゃ!」


 「未来の技術って凄いのね。昭和の特撮作品だと、小動物や微生物が放射能の影響で怪獣に突然変異するって話がよくあるけど、イメージとしてはそれと似た感じなの?」


 「……それは、全然違うと思うのう」


 「う、うるさいわね!ん?今『学校で習ったのじゃ!』って言わなかった?今更だけど、ミラって何歳なの?」


 「ミラは5歳なのじゃ!」


 実年齢は、見た目通りってことか。あれ?5歳なら、通ってるの幼稚園じゃないの?


 「ねえ?学校じゃなくて幼稚園の言い間違いでしょ?」


 「いいや!間違いじゃないぞ!ミラは、すでにで小学3年生までの勉強は終えてるのだ!ふふーん♪凄いじゃろ?」


 ミラは、ドヤ顔をして答える。


 「それ冗談なんでしょ?5歳なら幼稚園児に決まってるじゃない?」


 「あれ?ひいおばあ様。もしかして2025年の日本って飛び級制度は無いのか?」


 ミラが、意外そうな顔をして質問する。


 「幼稚園児が小学生に飛び級したなんて話は聞いた事無いわよ!逆に聞くけど2110年の日本では飛び級制度があるの?」


「うん!教育委員会から学力があると認められた子供は、どんどん飛び級させて早く社会に送り出して活躍させる政策になってるのじゃ!だから、ミラ達の時代では12歳で一流大学を卒業して、13歳で一流企業の課長さんになってる子もいるのだ」


 2110年の日本の教育制度って、そこまで変わってるのか?


 12歳の子供が一流大学卒業ですって?いつも赤点取りまくって、高校をギリギリ卒業出来た私にはスケールが違い過ぎてピンと来ない話だ。


 なるほど。ミラが年齢の割に大人っぽい言動や考え方してるのは、飛び級制度のおかげなのね。


 「ミラが帰った時には2111年になってるんでしょ?その間の学校はどうするの?」


 「トト様が1年間の休学届を出してくれたのだ。1年くらいの遅れは、元の時代に帰ってから頑張って取り戻すから大丈夫!」


 この子、思ったより努力家なのかな?勉強をサボる事しか考えてなかった私とは、えらい違いだわ……。


 「それよりも冷めない内に食べたらどうじゃ?」


 ミラは、自分の料理を食べながら、湯気の立ってるカルボナーラを指差す。


 「そうね!じゃあ!いただきま~す!う!ウマーイ!」


 思わず叫び声が出てしまったが、このカルボナーラは本当に美味い!


 生クリームと牛乳に、溶き卵、粉チーズがふんだんに混ぜられた濃厚で、それでいてしつこくないソース!


 モチモチとして噛み応えのある麺!


 振りかけられてる黒胡椒のピリ辛さが、絶妙なアクセントになってて飽きが来ない!


 具として散りばめられてるベーコンも噛むと肉汁がたっぷりと溢れ出してくる!


 し、幸せー!


 ……あっという間に完食してしまったわ。


 「はあー!美味しかった!……って、あんた何してんのよ!?」


 お子様ランチを食べ終わったミラは、何とお皿を食べているのだ!


 「やめなさいよ!お腹壊すわよ!」


 「このお皿は、食物繊維で出来てるから食べれるんじゃよ。だから、後片付けや食器を洗う必要がないのだ!」


  「マ、マジで!?」


 半信半疑でカルボナーラのお皿を囓ってみると、確かに食べれる。


 食感としては、麩菓子みたいだ。これならお腹に溜まらないから、食べ切れそうね。


 気がつくと、カルボナーラのお皿も私のお腹の中に入ってしまっていた。


 ケース内を改めて覗いてみると豆粒状の超圧縮保存食品は、ざっと見ただけでも数え切れないくらいの量がある。


 この1つ1つが、今みたいに食べられるのだとしたら、確かに1年分くらいになりそうだ。


 しかも今見えてる分だけでも、ラーメンや牛丼、回鍋肉などが確認出来る。バリエーションも豊富みたいね!


 あれ?ひょっとして、私も当分食事の心配いらないってこと?


 いや!いや!私は仮にもなんだぞ!?曾孫の大事な食料をあてにしてはダメだ!今回は甘えたけど自分の食い扶持は、自分で何とかしなければ!


 私は、頭を左右に振って邪な考えを振り払う。


 「そう言えば、本人は詳しい事を言わなかったけど、いんって何?ミラは知ってるの?」


 「もちろん!」


 「それじゃ教えてよ!」


 「フフフ!それは次回のお楽しみなのじゃ!」


 ミラはウインクして舌を出しながら言った。


 「あんた、引っ張るわねえ……」

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?