目次
ブックマーク
応援する
6
コメント
シェア
通報

第3曲目(1/14)ミラちゃん はじめての2025ねん! 〜死闘!?来夢VSオーヴァー〜

 …………あれ?ここは、どこだろ?


 私は、辺りを見渡した。


 どうやら、どこかの幼稚園のグラウンドのようだった。


 何で、私はこんな所にいるの?一体いつから?


  周囲には誰の姿も無く、不気味なくらい静まり返っている。



 「来夢ちゃーん!ウフフ!」


 気がつくと、私の目の前には菜々子ななこが立っていた。


 「菜々子?いつからいたの?それよりも、ここどこ?幼稚園……なの?」


 菜々子は、私の質問に答えずニコニコしてる。


 「ねえ、私の声が聞こえてないの?」


 「どうした来夢?そんなマヌケな顔しちゃってさ!キャハハ!」


 この声はすめらぎ?でも、姿が見えない!


 「皇でしょ?ねえ?どこにいるのよ!」


 「ここだよ!ここ!」


 声のした方を振り向くと、皇がグラウンド内のブランコを漕いでいる。


 右手には缶ビールを持っており、すでに酔っ払ってるみたい。


 あれ?さっき見た時は誰もいなかったのに……?


 ブランコから降りた皇はビールを飲みながら、私に近づいてくる。


 「カァー!うめぇ~!ほら!来夢も一杯るかい?」


 皇が胸の谷間から取り出した缶ビールを勧めてくる。


 「そんな乳臭くて生温いビールが飲めるかー!」


 ったく!少しくらい胸が大きいからって、嫌味な真似しやがって!


 「ダメだよ皇ちゃん!来夢ちゃん、もうお婆ちゃんなんだから、お酒を飲ませちゃ!」


 菜々子何言ってんの?お婆ちゃん?私まだ19歳だよ?


 「あ!そうだった!悪い!悪い!それじゃこのビールはアタシが飲むか!しかし、来夢も水臭いじゃないか!アタシらにお婆ちゃんになった事を黙ってるなんてさー!ゴキュ!ゴキュ!プハー!もう、来夢はバンド引退だな?だって、孫の面倒見なきゃいけないんだろ?ニヒヒ!」


 「ち、ちょっと、皇まで何を訳わかんない事を言ってるの?それに私が抜けたらスーパーヒーロー&ヒロインラヴァーズは、どうなるのよ!?」


 「大丈夫だよ!来夢ちゃんの代わりに新メンバーが入ってくれたから!」


  菜々子が満面の笑みを浮かべている。 


 この娘、笑顔でとんでもない事を言いやがるな!こんな性格だったか?


 「キャーホッホッホー!!キャーホホホー!!」


 突然、狂ったゴリラみたいなクソウゼえ笑い声が聞こえてきた!


 何よ?この下品な笑い声!聞いてるだけで、こっちの頭も狂いそう!怪獣ライブキング(※)でもいるのかよ?


 声のする方を見ると、グラウンドの端にあるジャングルジムのてっぺんに、誰かが立っている!


 遠くて顔が見えない。誰なの?


 「今行きますわよ!とぉー!」


 〝ソイツ〟は呼んでもないのに勝手に飛び降りて着地した瞬間、こちらに向かって全力疾走してくる!


 いや、こっち来んなよ!


 「キ、キャーホッホッホー!!ハア!ハア!み、味蕾来夢!フウ!フウ!も、もうお前はお払い箱ですのよー!キャーホ、ホッホッホッホーゥ!……ウッ!ゴ、ゴホン!ゲ、ゲフン!」


 私の目の前に立ちはだかったソイツは怪獣ライブキング!……ではなく、憎きダイヤモンドブレイカーズのオーヴァー・ジュリエッタだった!


 どうでもいいけど、今カッコつけて高笑いしようとしたら咳き込んでなかった?プッ!だっさ!


 「来夢!紹介するよー!スーパーヒーロー&ヒロインラヴァーズの新ボーカル兼ギター担当のオーヴァー・ジュリエッタ様さ!」


 皇が、何故かオーヴァーをお姫様抱っこしながら、私に言った。


 「さあー!菜々子!皇!新生スーパーヒーロー&ヒロインラヴァーズの初ライブですのよ!早く会場へレッツ・ゴー!するのよ!」


 「OKさ!オーヴァー様!」


 皇がウインクして返事する。


 「はーい!オーヴァーちゃーん!という訳で菜々子たちライブ行ってくるね!来夢お婆ちゃんサ・ヨ・ナ・ラ!」


 菜々子は手を振りながら、私のメンタルを抉るような事を言ってきやがる!


 オーヴァーを抱っこしたままの皇と、菜々子は私に背を向けて歩き始めた。


 「お前ら行くなよ!私からバンド取り上げたら、ただの痛い特撮ヲタクになっちまうだろーが!」


 私は菜々子達を追いかけるが、距離が全然縮まらない!


 「ひ〜〜い〜〜おばあ〜〜さ〜〜ま〜〜!!」


 突然、上空から怪獣みたいな唸り声が聞こえてきた!


 「え?ひっ!な、何あれ!?」


 空を見上げた私は、あり得ない光景を見てしまい思わず腰を抜かしてしまった。


 「な、何で、空一面にピンク色の髪をした女の子の顔が浮かんでんの?くっ!で、出たなー!怪獣・幼女ザウルスめ!お前はショッカーの刺客なのか?それともバルタン星人の手先か!?お、お前なんか全然怖くないぞ!」


 私は何とか立ち上がり、虚勢を張って幼女ザウルスに言い放つ。


 「お〜〜せわ〜〜するのじゃ〜〜!!」


 幼女ザウルスは、そう言って大きく口を開けた。


 その瞬間、私の体が空に浮かび上がる。


 ちくしょう!こいつめ!私を吸い込んで食べる気か!?


 「や、やめて!助けてー!」


 私は空中で手足をバタバタさせるが、その抵抗も虚しく幼女ザウルスに飲み込まれてしまった………。



 「う、うわぁぁー!!ハアハア!……ゆ、夢だったの?」


 私は、自分の叫び声で眠りから覚めた事に気がついた。







※『ウルトラマンタロウ』第2~3話に登場する怪獣。人間の笑い声みたいな咆哮が特徴的。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?