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第2曲目(4/5) 私が来夢で、この子も来夢?作者よ!もう少し設定を考えられなかったのか?えっ?お前が何とかしろって?

  「本当に☓☓山公園だわ」


 あの素敵空間に行く前は、少なくとも家から電車で30分以上は掛かるライブハウス近辺の住宅街にいたはずだ。


 それなのに、素敵空間を出た瞬間に、家から5分くらいの場所である☓☓山公園にいる。


 「これが、ベガ星人の技術なの?」 

 私は、地球外の科学力の凄さを改めて実感した。


 「どうやら、誰もいないようだね。それじゃ、準備するか」 


 周辺を見渡し、人がいない事を確認した華印は、胸ポケットに手を入れる。


 「今は……。午前2時半か」


 私は、スマホで現在時刻を確認する。もうこんな時間なのか。


 「お婆ちゃん、これが〝タイムカプセル〟だよ」


 華印は、ポケットから取り出した萎んだ風船みたいな物を私に見せる。


 風船にしては、キラキラ光ってて珍しく見えるけど、これがタイムカプセル?こんな物で、2人は2110年の世界からやってきたというの?


 「本当にこれが?これって風船じゃないの?」

 「百聞は一見にしかず。まあ、見ててよ」



 そう言って、華印は風船に空気を吹き込む。すると一瞬の内に軽自動車くらいの大きさに膨らんだ!凄い!何?これ!?


  「わ!わ!わ!ふ、風船が!風船がー!でっかくなったー!?」


 「アハハ!驚いた?これが、〝カプセル型タイムマシーン〟であるタイムカプセルの真の姿さ!」


 なるほど。カプセルの形のタイムマシーンだから、タイムカプセルというのか。そのまんまだけど、説得力あるネーミングセンスね。


 タイムカプセルは、一言で言うと巨大なガラス玉のような形をしている。


 透けてるので、その内部は外からでも確認出来るが、1人用の座席と、子供の頃にパパの田舎で見た黒電話のような物が設置してあるだけだった……。え!?



 タイムマシーンの内部って、もっと未知の機械とか、時計みたいなメーターが色々とあるもんじゃないの?シンプル過ぎない?それに、なぜ黒電話?


 「どーして、宇宙人の作った最新のタイムマシーンに、アナログな黒電話があるのよ?」


 「さあ、それは俺に言われても……。それじゃ、そろそろ俺は行くよ。お婆ちゃん、来夢ちゃんの事をよろしくね!」


 「ちょっと待って!私は一人暮らしで、フリーターなんだよ?お金無いよ?オムツ代とか、ミルク代は置いてってくれないの?」


 「ひいおばあ様、来夢は赤ちゃんじゃないのだ!」


 ちび来夢は、むくれてるが、それどころじゃない!万年金欠の私にとっては切実な問題である!


 「ごめん!今、持ち合わせ無いから立て替えといて!」


 「そ、そんな!」


 「来夢ちゃんに、1年分以上の食料は持たせてるから、食費の心配は無いからさ!も置いてくから、上手く使えば何とか生活出来るよ」



 「ベガ星人の超科学アイテムを発動出来る機械って、さっきの手のひらサイズのタブレットみたいな機械の事?それよりも1年分以上の食料?どこにそんな物があるのよ?」

 華印は、またまた意味が分からない事を言う。


「詳しくは、後で来夢ちゃんに聞いて。お金は迎えに来る時に必ず返すよ。現金と電子マネーどっちが良い?」


 「現金で!」


 電子マネーは、イマイチ慣れてない私は、華印の問いに即答した。

 「了解!そういえば、2025年の紙幣の肖像って誰なの?」


 「え?渋沢栄一とか、津田梅子だけど?」


 「あちゃー!それじゃ、俺の時代とは肖像が変わってるから現金はダメだな!」


 「2110年の紙幣って、今と違うの?」


  よく考えたら85年も経ってれば、紙幣のデザインが変わってるのも当たり前か。私は言った後で気がついた。

 「ちなみに、2110年のお札は、誰が使われてるの?」


 「えーと、壱万円札が〝いかりや長介〟で、五千円札が〝志村けん〟、千円札が〝仲本工事〟、多分この時代には無いじゅう万円札が〝高木ブー〟で、万円札が〝加藤茶〟だよ」



 「未来のお札全部、ドリフターズなのかよー!確かに、お札になるほど凄い人達ではあるけどさ!それにしても2110年楽しそうだな!私も、そのお札使って買い物したいわよ!オイ!」



 「あ!そうそう!2100年には期間限定で、志村けんのバカ殿様バージョンの五千円札が発行されたんだ!」



 「記念切手じゃねーんだぞ!?未来の財務省遊び心あり過ぎだろ!大丈夫かよ?日本経済ぃぃー!!ダメだこりゃー!!」



 「ひいおばあ様、さっきからうるさいのう!」

 はっ!あかん!ツッコミに力を入れすぎて、つい声が大きくなってしまった。


 「ごめん!誰かに見られたら、大変だもんね。私が悪かったわ」


 「分かればいいのだ!」

 「それじゃ、そろそろ本当に行くから」 


 華印は、まるで通り抜けるかのように、タイムカプセルの内部に入った。


 例えるなら、シャボン玉を割らずに中に入ったような感じだ。タイムカプセルってドアとか無いの?


 「ちょっと!私にも少し中を見せてよ!」 


 華印に続いて、私もタイムカプセルの中に入ろうと近づく。


 「あ!ダメだよ!お婆ちゃん!」


 〝ガツン!〟


 私は、タイムカプセルに、顔面を思いっきりぶつけてしまった。

  「ぎぶっ!い、痛ーい!な、何で?こんなに硬くなってるの?話が違うじゃない!」


 あまりの痛さで鼻を触るが、どうやら鼻血は出てないみたい。


 「これは、最初に空気を吹き込んだ人間にしか使用出来ないんだ。それ以外の人間は中に入れないんだよ」



 華印は、タイムカプセルの中から、私に説明する。でも、そういう事は、最初に言って欲しかったわ!


 「そういえば、この子の分のカプセルは、どうしたの?」

 「ああ、来夢ちゃんのタイムカプセルは、この時代に来た時に、壊れちゃったんだ」 


 「そうなの?」 


 「ひいおばあ様、これ来夢のカプセル」


 そう言って、ちび来夢は華印と同じような萎んだ風船を見せるが、それには穴が開いていた。


 「やっぱり、タイムワープの衝撃とかに耐えられなくて壊れたの?」


 私は、華印に問いかける。

 「違うよ。この時代に来て着陸した時に、落ちてた画鋲を踏んで壊れちゃったんだ」



 「脆すぎんだろ!ベガ星の科学力ぅぅー!!そんな豆腐メンタルみたいな強度で、よくタイムスリップ出来たな!オイィィー!」



 「ひいおばあ様、またうるさいのじゃ!!」


 「あ、はい。すいません……。ツッコミどころ満載エピソードだったので、(私が頑張んなくちゃ!)と思って、また調子乗り過ぎました」



 「アハハ!若い頃のお婆ちゃんも、本当に面白い人だね!」

 華印は笑いながら、カプセル内の黒電話の受話器を取りダイヤルを回す。


 「もしもし?タイムワープお願いします。ワープ先は西暦2110年の◯月☓日です。場所は地球の日本国内の東京都◯◯区△△町まで!」


 それにしても、全然タイムマシーンの操縦らしくない光景ね!もっと、こう特撮メカ的な物を想像してたのに。どうでもいいけど、誰と話してんだろ?


 華印が受話器を置くと同時に、タイムカプセルの上空にブラックホールみたいな物が現れた。


 それに吸い込まれるように、カプセルは少しずつ浮かび上がって行く!


 「それじゃあ、お婆ちゃんと来夢ちゃん!2026年にシーユーアゲイン!あ、お婆ちゃん!電子マネーの種類は希望ある?」


 「出来れば、auPAYでお願いしまーす!」


 華印が私の言葉に答える前にカプセルは、ブラックホールの中に消えていく。


 同時にブラックホールも消滅してしまい、目の前の空は元に戻っていた……。

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