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第1曲目(4/4) 出会いは求めてないのに勝手にやってきた!

 この娘、髪の色的に〝一人ぼっちの天才ギター少女〟のコスプレのつもりかしら?いや、年齢的に〝ピーナッツが好きなスパイ家族の子供〟の方が合ってるのかな?


  ……じゃなくて!何よ?こいつら?この男、私の事を〝お婆ちゃん〟と呼ばなかった?聞き違い?


 「おい、トト様。この人が、本当に来夢の〝ひいおばあ様〟なのかい?何だか暑苦しい格好してるのう!来夢と比べて、知性と女性らしさが欠片も感じられないんだが?」


 男の隣にいる女の子が、私を指差して物凄く失礼な事を言ってくる。


 口の悪い子ね!うん?来夢って、私と同じ名前?そんな事は、どうでもいい。1970~80年代のヒーローをリスペクトした私の服装をバカにした事は許せん!


 「ねえ、お嬢ちゃん?人様の服装をバカにするような事を言ってると、悪い子になっちゃうぞ~?メッ!だよ。お姉ちゃんの服は、お嬢ちゃんが産まれるずーっと前に、活躍してたスーパーヒーロー達に敬意を表した姿なんですよー♪」


 子供相手に感情を剥き出しするのも大人気ないから、教育番組のお姉さんのような口調で、小生意気な女の子に注意する。


 「アハハハ!その1970~80年代の特撮ヒーローへの情熱!俺がガキの頃から知ってたお婆ちゃんそのものだよ」


 私の言葉を聞いた男は、笑いながら言った。


 な、何で、今の会話だけで、私の趣味が分かったの?コイツら危ない気がする!関わり合いにならない方が良いな。


 「キャハハ!お婆ちゃんって、誰の事かな?ここには、19歳のピチピチバンド少女しかいないよ??わ、私は昭和のウルトラマンシリーズと、仮面ライダーシリーズの最終回を一気見する日課があるから、そろそろ帰るね!さよバイ(※さよならバイバイの略語)!」


 私は、急遽おバカキャラを装って2人の前から立ち去ろうとしたが、男に腕を掴まれて阻止された。


 「それ、絶対嘘だろ!お婆ちゃん逃げないで!とにかく俺たちの話を聞いてよ!」


 見た目とは裏腹に男の力は強く、その手を振りほどく事が出来ない。


 ひょっとして、私殺される?犯される?ゴルゴダ星に貼り付けにされちゃう?ヤバい!ヤバい!


 「お、お客様!!当店はお触り厳禁でございまーす!じゃなくて!ウルトラマンAエース!助けてー!」


 「落ち着けって!俺ら怪しい者じゃないからさ!」


 「怪しさメガ盛りマシマシだろ!離して!これ以上、私を怒らせたら、ライダー拳が火を噴くよ!それでもいいの!?」


 「なあ、トト様。こんな状況じゃ、ひいお婆様は、ますます混乱して、話にならないぞ?ひとまず〝アレ〟を使用してみてはどうだい?」


 「それもそうだな。じゃあ来夢ちゃん、アレの発動を頼めるかい?」


 「アレって何の事よー!?」 


 「だから、お婆ちゃんの事じゃないって!」


 「合点承知の助!」 


 私と同じ名前の女の子が、スマホの半分くらいのサイズのタブレット(?)のような物を取り出して、何やら操作を始める。


 「プライベートディメンションルームヲハツドウシマス。メンバーハ、3メイサマデ、ヨロシイデスカ?」


 「うむ!OKじゃ!」


 タブレット状のような物体から、発せられる電子音声に対して、女の子がサムズアップして答える。


 「ラジャー!プライベートディメンションルームハツドウ!プライベートディメンションルームハツドウ!」


 再び電子音声が聞こえた瞬間、目の前が真っ白になった!


 「な、何?何が起きたの?」


  怖くなった私は、思わず両目を閉じる……。


 「ひいおばあ様、もう目を開けても大丈夫じゃよ」


  女の子の声に、従うように私は恐る恐る目を開けた瞬間、思わず腰を抜かして座り込んでしまう。


 だって、ついさっきまで、私は夜の住宅街にいたはずだよ!?


 それなのに、どうして、周りが真っ白くて、何もない場所にいるわけ?


 訳わかんない!ひょっとして、私は夢でも見てるのか?


 パニクって周囲を見渡すと、例の2人が笑顔を浮かべながら、私の事を見つめていた。


 「どう?お婆ちゃん少しは落ち着いた?」


 「ここどこ?何で真っ白なの?あんた達の仕業なの?私、家に帰れんの?っていうか、さっきから人の事をお婆ちゃん呼ばわりして、あんたはセワシ君かよ!?私はのび太君じゃねーよ!」


 「そんなにいっぺんにたくさん質問されたら、どれから答えるか悩むなぁー。じゃあ、とりあえず今の場所について答えよっか。ここは〝プライベートディメンションルーム〟現実世界とは隔離された別次元だよ。誰にも聞かれたくない話をする時などに使用するんだ。〝彼ら〟の技術の1つだよ」


 「プ、プリペイドカードデリバリー?彼らって誰?」


 「全然違うよ!彼らってのは、まあ後で説明するよ」


 男は、私にツッコミは入れるが、質問に答えず話を続ける。 


 「ここは、初期設定だと、ご覧の通り真っ白で殺風景なんだけど、自由に背景を設定出来るんだよ。とりあえず、お婆ちゃんの心地よさそうな景色に変えてみようか?来夢ちゃん、貸して」


 「はい、トト様」


 女の子からタブレット状の機械を受け取った男は、何やら操作を始める。


 「よーし、これで頼む」


 「ラジャー。ルームナイヲ〝ショウワヒーロールーム〟ニ、ヘンコウイタシマス」


 電子音声と同時に、真っ白だった背景が急に変わり始めた。


 「え、ええ?う、うおおおー!こ、これは!?」


 周囲を見た私のテンションは、先程までのパニックが嘘のように一気に上がった!


 何故ならば、特撮作品の防衛隊の作戦室みたいな室内に、等身大のウルトラマンや仮面ライダーや、ゴレンジャーなどのヒーロー達の人形が所狭しと並んでいたからである!


 「凄い!1号からZXゼクロスまでの10人ライダーが揃ってる!やっぱ、仮面ライダーと言えば、このメンバーだよね!こっちは、ウルトラ6兄弟にレオと80エイティの人形だわ!アストラやユリアンまでいるのが、〝分かってる〟じゃない!」


 「お婆ちゃん、大好きなヒーロー達を見て落ち着いた?そろそろ俺たちの話を聞いてくれる……」


 「ゴレンジャーも5人揃ってる!って、5人いないとゴレンジャーじゃないよな!アハハハ!何言ってんだ!私!あー!このアカレンジャーの人形、アイマスクに白い縁取りが無いNGバージョンの方じゃない!渋すぎるわー!あ、あれは!?ウソ!こんな物まで!?……」


 「トト様。ひいおばあ様、さっきとは別の意味で話が出来ない状態になってるんじゃないか?」


 「ぐ、グムゥー!〝面倒くさい昭和特撮ヒーロー好き〟と、本人から聞いてはいたけど、これほどだったとは!」


 「背景の設定を変えるしかないな。ひいお婆様が、落ち着きそうな光景って何だと思う?」

 「うーん、そうだなぁ……」


 超リアルな特撮ヒーロー達の人形を見て、テンションがクライマックスになってる私の横で、2人が何やら話してるようだが、そんな事はどうでもいい!……え?背景の設定を変える?この素敵空間が消えるって事!?そ、そんなの嫌だ!まだ私は満足してないよ!


 「ま、待って!大丈夫!大丈夫!あんたらの話をちゃんと聞くから、このままで無問題モーマンタイ!」


 「あ、そう。やっと、話を続けられそうだね。順番めちゃくちゃだったけど、自己紹介するね。俺の名前は味蕾華印みらいかいん。今から85年後、つまり2110年の未来からやってきた貴女の孫だよ。突然で悪いんだけどさ、俺の娘をしばらく預かってくんない?」


 「え?ま、孫?アンタが、私の?」


 華印と名乗った男は、見た感じ20代半ばくらいに見える。


 私と大して歳の変わらない優男が、私の孫だって?しかも、娘を預かって欲しいって言わなかった?マジ、意味不明なんだけどー!!???


 「私は、この華印こと、トト様の娘の味蕾来夢!つまり、貴女の曾孫なのじゃ!ひいおばあ様!お世話よろしくな!」


 ひ、曾孫?何それ?美味しいの?いや、食べ物じゃないだろ!?


 「ギャルバンで昭和特撮ヲタの私が、ひいおばあちゃんになったんだが!?えっ?マジでー!!??」


 次から次へと起きる訳わからん状況によって、脳内の情報処理能力が、完全にキャパオーバーしてしまった私は、訳わからん事を叫んでしまうのであった……。


 ―味蕾来夢の前に現れた青年と幼女は、本当に未来からやってきたのだろうか?

 もしも、本当だとしたら、彼らはどうやって現代にやってきたのか?


 これは、未来からやってきたという曾孫と暮らす事になった1人のバンド少女の笑いアリ、涙アリ(ホント?)の日常生活を描くという予定の物語であったりするのである!!多分(汗)―


 「突然出てきたナレーターが、勝手に締めるんじゃない!っていうか、いるんなら、最初から出てきて仕事しなさいよ!そうすりゃ、私も慣れない地の文を担当しないで、もっと楽が出来たのにさー!」


~次回、2曲目「私が来夢で、この子も来夢?作者よ!もう少し設定を考えられなかったのか?えっ?お前が何とかしろって?」に続く!~


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