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「キャプテン、彼女できたんすね。おめでとうございます。いやー、硬派代表の我らがキャプテンにも、とうとう春が来たってわけですね」
その日の朝練の後、着替えていると隣の柴田が、温かい目をして話しかけてきた。思考停止した恭介は、服を脱ぎかけで静止する。
「ん? 彼女? 身に覚えがないけど、どっからの情報?」
「さっきそこで陸部の女子が言ってましたよ。サッカー部のキャプテンが一年の女子と登校してたって。それにしてもキャプテン、年下好きだったんですね。あ、いや、ダメとか言ってんじゃないっすよ。いいっすよね、年下。夢とロマンが詰まってる、うん」
(あ、やっちまった。あの子に離れろって言うの忘れてた。……これはやばいやつだ。どうなる、俺)