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ホイッスルが鳴り、恭介たちは一対〇で勝利を収めた。
(なんとか勝てたか。でもまだまだだな。点を取ってから、明らかにうちは雰囲気が緩んだ。大きな課題、だよな)
恭介が思案に暮れていると、前方から同じく試合に出ていた二年の柴田が駆け寄ってきた。顔つきは明るく、一点の曇りもない様子である。
「いやー、今日も飛ばしてましたよね、キャプテン。あのシュートはまーそう簡単には取れないっすよ」
「ああ、我ながらまあまあだったかな。そんでもあの程度じゃあ、止めるキーパーは星の数ほどいるだろ。まだまだ精進が足りん」
「おっ、さすがキャプテン! 青嶋サッカー部のきらっきらのエースにして、ストイックの申し子! もう一生ついて行きますよ!」
ハイテンションな柴田にクールに返答しながら、恭介は父兄の中に佳奈の姿を探す。だが見当たらない。
(……あの子、本当に来てたのかな。いや、用事とかで来られなかったんなら仕方ないけどさ。点も取れたし、喜んでもらえただろうにな)