私は自分の
まず読めない。
「聖子」と書いて「きよこ」ですが、なまじ「せいこ」と読むのが主流だから訊いてさえもらえません。
絶対読めない当て字のキラキラネームの方が、いちいち確認してもらえるだけ羨ましいとさえ思っています。五十過ぎた今もそうです。
その名前で苦労なさっているだろう御当人にはもちろん言えませんが。
結婚前に現在の夫である直幸と二人で話し合った結果、互いに改姓する気はなく別姓で行くことになりました。
もし夫の姓にした場合、「
それはいったい誰なんだよ⁉ と。
「一緒がいいんならあんたが変えたら? 私は『自分の嫌なこと』を一応でも結婚しようかって相手に強制する気はないけど、あんたが自分で変えるなら自由だよ」
最初は『世間一般の常識』とされていることを疑うことも知らず、「私(妻になる聖子)が改姓するのが考える必要もないほどのアタリマエ」だと思い込んでいた直幸。
二人で話し合っている最中の私の言葉への、彼の答えはこういうものでした。
「いや、俺は自分の名前(姓)好きだし。……、──!」
直幸はそこで初めて私の主張を理解したそうです。
私が「自分が嫌なことを相手に強制したくない」といった意味も、自分の主張がまさにその通りであることも。
なので、結婚しても婚姻届は出さずに事実婚の別姓です。
戸籍は分籍して二人それぞれ単独戸籍に、住民票は同一世帯で直幸を世帯主にしたので私は「未届の妻」。
これで大抵の場面で証明に使えました。
生命保険の受け取り人指定も(その後娘個人に変えましたが)、数年後に買った共有名義の持ち家のローンの連帯債務も通りました。
おそらく今は(特に保険は)無理ではないでしょうか。