これは名前以外はほぼ脚色なしの事実そのままの、つまりノンフィクションです。必然的に、家族(特に子どもたち)の話も多いです。
自分の姓を守るため、別姓を貫き通すために戦った涙と努力の記録、ではありません。残念ながら。
本来ならば、理解のない周囲と戦い、時には迷い、理解者に背中を押され、ようやく手にした権利を喜び……、なら格好いいし面白いんでしょう。
しかし、私は本質的に他人(自分以外の他者)に興味も関心もありません。他人の目なんて心底どうでもいい。
私が激し過ぎたからか、意志が強過ぎたからか。
最初からファイティングポーズをとって三百六十度に睨みを利かせ、「さあ、いつでも掛かって来い! 誰から叩きのめしてやろうか!」というような人間には誰も無意味な喧嘩は売らないんですよ……。
来たら再起不能になるくらいにしてやるのに誰も来ない。来なかったんです。
ただし、現実には私の人生四方八方敵だらけです。全員とまでは言いませんが。
ですからこれは、戦って勝ち取るまでもなく「そもそも誰も、『私の鋼鉄の意志の前に立ちはだかる敵』にすらならなかった」という、私の『なまえ』に纏わる半生の話です。