その後、街の警備隊長も容認していたことが発覚した。国王が俺の信用をなくしたと思い、街の警備状況を強化することを決めた。 警備隊長は、取り締まるべき警備兵が犯罪を容認していたことが分かると、犯人グループと同罪として処刑された。騎士団で偉そうにしていた奴の弟だったらしく、弟が王子誘拐に関与したとされたために、一族全員が処刑ということに巻き込まれ、前回の過ちで降格処分され、さらに処刑になってしまった。
日課の書庫で魔法の勉強をしていると、王国の歴史の中にディアブロのことが書かれていた。あぁ……派手に王国で暴れていたみたいね……そりゃ封印もされるわ。ダンジョンも王国内にあるみたいね〜。危険とされて封印されたダンジョンがあるみたい……? うぅ〜ん……興味あるぅ♪ ダンジョンって普通に危険な場所じゃないの? それを封印って……? 良いね良いね〜危険って魅力的な言葉だよねぇ♪
街の様子が変わったのかをエリゼに聞こうと思い、会いに行く途中でエリゼが少年兵と楽しそうに話をしているところを見つけてしまった。
邪魔しちゃ悪いと思い引き返す途中で、タイミング悪くセリオスとも出会ってしまった。
「レイニー様、どちらへ? 今日もエリゼが同行をして来ていますが……」
「え? あぁ……忙しいみたいで、邪魔しちゃ悪いと思ってさぁ……。急ぎじゃないし、別の者にでも聞くよ♪」
「エリゼが、忙しいですか? 何を忙しくして……」
俺の後方で少年兵と仲良く話をしながら歩いているところをセリオスに見つかってしまった。セリオスの表情が変わりエリゼを大きな声で呼びつけた。
「エリゼ! 何をしているんだ!?」
好みの男の子だから仲良く話をしていたんじゃないの? 邪魔しなくても良いのに……。俺の用件は別の者でも分かることだしさぁ……
「わっ。お父さん! 何をって……ちょっとお話してただけだよ?」
「レイニー様を放って置くとは……まったく……はぁ」セリオスがため息を付いた。
「あ、だから……大丈夫だってばぁー。他の者に確認をすれば良いことだしさっ。それじゃ!」こんな気まずい雰囲気の場所にいたくないし。セリオスが、俺とエリゼを仲良くさせようと思っているのか……?
「レイニー様、お待ち下さい。エリゼ、レイニー様がお話があるそうだ、来なさい」
「エリゼ、俺は大丈夫だから……話を続けてて良いよ。さーて……」と言っても、暇なんだよね。エリゼくらいしか友達はいないし。あーちゃんが、いるけどねぇ♪
セリオスが、エリゼの耳元で小声で話をすると慌てる表情になった。
ん? どうしたんだ? 後でお説教だとでも言われたのか? この世界は階級社会で女性は政略結婚が当たり前みたいだし。俺と結婚すれば、第3王子とはいえ権力はあるしなぁ……そんな結婚はゴメンだけどなぁ。
気になった俺は、あーちゃんに聞いてみた。
『な〜あーちゃん、なんて言ったか分かるぅ〜?』
『言ったことは分からないけど……心なら読めましたよ。えへへっ♪ レイニー様モテますねぇ……』
『それ、モテるっていうのかぁ〜?』どうせ、セリオスがエリゼにレイニー様に気に入られないとダメだろ!っとでも言ったんだろ〜
『人間の世界ではモテるというと思いますけど?』
『あの慌てようならさぁ……「後でお説教だぞ!」とか言われたんでしょ?』
『注意されましたけど、違いますね。エリゼは、レイニー様のことが大好きですね。セリオスもレイニー様が好きというか尊敬をしていますねぇ……。レイニー様がエリゼと一緒にいて嬉しそうにしていたので、少しでも喜んでほしいという気持ちを感じます』
『はい?それで、なんで慌ててるんだよ?』
『それは……分かりませんよ……。自分でお聞きになればよいかと〜』
『聞けないから、あーちゃんに聞いてるんですけどぉ〜っ! 政略結婚とか考えもあるんじゃないの?』
「あぁ〜それは、あの二人からは感じられないですね。欲望が渦巻く感情は大好物なので……見逃さないですよ」
『エリゼは、あそこの少年と楽しく話をしていて俺が邪魔じゃないのか?俺といる時より笑顔だったぞ?』
『……楽しい感情もありますが、ただたんに笑い話をしていただけですよ。レイニー様に抱いている好きという感情は、あそこの少年には無いですよ。好きという感情も美味しそうですね……欲望の塊ですからね〜♪』
エリゼが、俺をねぇ……兄妹みたいな関係だと思ってたんだけどなぁ。
セリオスが、ジロッと少年兵を見つめるとビクッと姿勢を正し動かなくなった。
「そろそろ訓練が始まる時間だぞ、そこで1日立っている気か? それは、それで良い訓練になりそうだな……許可するぞ」
「いえ、通常の訓練を受けたいです!」
「だったら戻った方が良いと思うがな……みんな隊長の元に集合をしているぞ」
「し、失礼します!」少年兵が慌てた様子で去って行った。
「お、お兄ちゃん……あのね、ちがうの。あの男の子に話し掛けられてね、お父さんの部下の人のドジな話をされて笑ってただけなの……」
エリゼが話を始めると、セリオスが頷いて去って行った。
あーちゃんの話を聞いていなければ、意味が分からないところだった。何が違うのか、なぜ言い訳を始めたかも。俺がヤキモチを妬くとか、エリゼが好きなのは俺だけだと言いたいんだろうな。
「あーうん。そっかぁ〜」なんて返事を返していいやら……。というか、セリオスが珍しく少年兵の集まる方へ向かってるじゃんっ。面白そう……
『あ……セリオスがヤキモチを妬いていますね……面白そうですよ! にひひ……♪』
『その笑い方、俺じゃん〜』
『飼い主に似ちゃうんですよー』
あーちゃん、俺を飼い主だと認めているんだ? そういえばこの世界に使い魔っているんだよな? 従者契約と違うのかなぁ?