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第12話 悪魔との出会い

 望みかぁ……未知なる魔法、未知なる力に興味がある。それが知りたいかな。せっかくの異世界だしさっ!



「未知の力に興味があるかなぁ〜」何でも叶えてくれるなら、俺の好奇心を満たしてくれるものが欲しい。ワクワクとした声で答えた。


「良かろう、その望み我が叶えてやろう。さあ、封印を解いてくれ」ホッと一安心をした声に変わり、封印を解くように急かしてきた。



 言われるがままに、あらゆる結界を無視しガラスがきしみ割れる音が鳴り響きこえ結界を破壊し、声の主の封印される元へ近づいた。あっさりと封印の札をペリと簡単に封印を解除した。


 すると、あたりの雰囲気が一変し、紫色の邪悪なオーラが目に見えるほど濃密に放たれ、部屋全体が異空間に変わったかのような感覚に包まれた。

 密度の高い邪悪なオーラがピリピリと音を立て、空気が重く、息苦しさを感じさせる。

 突然、地面が震え、暗黒の裂け目が現れ、そこから悪魔がゆっくりと姿を現した。

 悪魔の目は血のように赤く、鋭い牙が光り、周囲の空間を歪ませるほどの圧倒的な存在感を放っている。彼の登場と共に、部屋中に不気味な笑い声が響き渡り、恐怖が一層深まった。



 ディアブロは暗黒の裂け目から完全に姿を現し、血のように赤い目をギラリと光らせた。周囲の空気が重くなり、彼の存在感が一層増す。



「我はディアブロだ、貴様が私の封印を解いたのか……」



 その声は低く、地響きのように響く。



「我が望みを叶えてやると言ったな…その言葉に偽りはない。だが、覚えておけ、私に力を求める代償は計り知れぬものになるのだが、封印を解いてくれた礼だからな」



 ディアブロは一瞬、薄く笑みを浮かべる。その笑みは凍てつくような冷たさを感じさせる。



「未知の力を欲するとは、実に興味深い…貴様の野望、見届けさせてもらおう」



 ディアブロはゆっくりと歩み寄り、レイニーに視線を固定する。



「さあ、力を受け取るがいい。だが、その力が何をもたらすかは貴様次第だ…」



 彼の言葉には、かすかな脅威とともに、ディアブロに強大な力が高まっていくと強い殺意を感じた。


 悪魔がニヤリと笑うと、手のひらを上に向け、その手のひらの上に紫色の球体が現れた。その球体からは紫色の炎のようなものが揺らめいていた。



「わぁ。なにそれ……知らない未知の力だ! 興味あるある♪」レイニーが興味津々にその光景を見つめ、笑みがこぼれた。


 その瞬間、悪魔が強力な魔法を放ち、レイニーに命中させた。辺りが紫色の炎に包まれ、激しい轟音が鳴り響く。魔法の衝撃で空気が振動し、地面が揺れ動くほどの力が感じられた。


「貴様の、未知なる力は教えたぞ。しっかりと見届けさせてもらった」ディアブロは、紫色の炎をみつめながら呟いた。


 紫色の炎が消え去ると、周囲には焦げた痕跡が残り、空気は重苦しい沈黙に包まれた。悪魔は、解放してくれた未知なる力を教え、その代償を支払い、完全に解放された喜びに満足げに不敵な笑みを浮かべていた。



「へぇ〜。キミなかなか強いんだねっ♪ 辺りが一瞬でめちゃめちゃになっちゃったねぇ〜」



 破壊されて舞い上がった瓦礫の埃の中から声がしてた。埃がひくと傷一つなく平気な顔をしているレイニーがニヤッと嬉しそうに微笑んでいた。


 ディアブロの放った強力な魔法に死にもせず、「無傷だと!?」ディアブロが驚いた。

 レイニーはディアブロの攻撃に、驚きの表情を浮かべることもなく、平然としており笑顔で楽しそうに言った。



「ねぇ〜ねぇ〜他には? もっと教えてよ! ほら、はやくぅ〜♪」



 ディアブロの魔法をまともに喰らってなお、笑顔を崩さないレイニー。その光景に、悪魔はゾクッと背筋を冷たく感じる恐怖を覚えた。



「悪魔である我に、このような恐怖を与えるとはな……」



 ディアブロは自分自身に言い聞かせるように呟いた。封印によって力が衰えていたとしても、レイニーの無傷の姿には違和感を覚える。



「それでも、これほどの魔法を受けて無傷とは……。貴様、ただの人間ではないな?」



 レイニーは微笑みを浮かべたまま、楽しそうにディアブロを見上げた。「他にはないのかな? ねぇ〜♪」レイニーが可愛くおねだりをするように言ってきた。


「悪魔である我に、このような恐怖を与えるとは、さすがは封印を簡単に解除しただけのことはある。ガキよ……」ディアブロは、小さく呟いた。


 ディアブロは内心の動揺を押し隠しながら、再び冷ややかな笑みを浮かべた。彼の心には、レイニーという存在に対する新たな興味と警戒が芽生えていた。


 長年封印をされ魔力が弱体化し、目の前の人間の子供に魔法が効かなかったとディアブロは思った。ならば悪魔の特有のスキルでならば、この状況を打開できる得意な精神支配を試みることにした。

 うまくいけば、この少年を支配し、殺して魔力を奪い取ることができるだろうと考えた。ディアブロは、魔力をこっそりとレイニーに送り込み、彼に気づかれないよう慎重に行動した。


 ディアブロの手のひらから、見えない波動が静かに広がっていく。彼の目は鋭く光り、狙いを定めた獲物を逃さない鷹のようにレイニーを見つめた。精神支配の魔術は、相手の心に入り込み、意識を操る力を持っている。ディアブロはその術を巧みに使い、レイニーの意識の中に魔力を送り込んでいった。


「これで終わりだな……」ディアブロは心の中でつぶやいた。


 長年封印されていたせいで魔力が多少衰えていたとはいえ、この程度のスキルであれば問題なく成功するはずだと信じていた。


 しかし、レイニーは、魔力が送り込まれていることに気づいた様子もなく、楽しそうに微笑み続けていた。ディアブロの心には、一抹の不安と恐怖が広がり始めた。


「なぜだ…?どうして効かない…?これほどの精神支配のスキルが通じないとは、一体どういうことだ?」


 ディアブロは内心で動揺しながらも、表情には出さずにレイニーを見つめ続けた。


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