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第8話 王国軍魔術師団長ガードナー

――射撃練習エリア――


 ガードナーはまず、射撃練習エリアにレイニーを案内した。ここでは、兵士たちが魔法の矢やエネルギーボルトを的に向かって放っていた。的に命中するたびに青白い光が閃き、その度に訓練兵たちは真剣な表情で次々と魔法を放っていた。


「こちらが射撃練習エリアです。訓練兵たちは、遠距離からの攻撃の精度を高めるために、様々な標的に向かって魔法を放っています」とガードナーが説明した。


 レイニーはその光景に目を見張り、「すごい……皆、真剣だね~」と感嘆の声を漏らした。


――近接戦闘訓練エリア――


 次に、ガードナーは近接戦闘訓練エリアへと案内した。ここでは、兵士たちが剣術や格闘技のスキルを駆使し、木製のダミーや人型のマネキンに向かって訓練を行っていた。


「ここは近接戦闘訓練エリアです。兵士たちは、剣技や格闘技を磨き、実戦さながらの模擬戦を行っています」とガードナーが説明した。


 レイニーはその緊張感溢れる光景に圧倒され、「皆の動きがとても鋭いなぁ」と感心した。


――自然エリアでの魔法訓練――


 次に案内されたのは自然エリアだった。高くそびえる木々や、流れる小川が広がり、訓練兵たちは自然のエネルギーを取り入れた魔法の訓練を行っていた。


「こちらは自然エリアです。ここでは、自然の力を取り入れた魔法の訓練を行います。自然と一体化する感覚を養うことで、魔法の力を引き出します」とガードナーが説明した。


レイニーはその美しい光景に感動し、「ここは本当に別世界みたい……♪」と微笑んだ。


――実戦シミュレーションエリア――


 ガードナーはさらに、実戦シミュレーションエリアに案内した。ここでは、兵士たちが実際の戦闘を想定したシミュレーション訓練を行っていた。


「これは実戦シミュレーションエリアです。ここで兵士たちは、仮想の敵や状況に対応するための訓練を行います。チームワークや戦術の重要性が強調されます」とガードナーが説明した。


 レイニーはその迫力に驚きながら、「実際の戦闘に備えるための訓練なんだぁ~。迫力が違うね!」と納得した。


――特殊魔法訓練エリア――


 最後に、ガードナーは特殊魔法訓練エリアにレイニーを案内した。ここでは、訓練兵たちが高度な魔法技術を習得するための訓練を行っていた。


「こちらは特殊魔法訓練エリアです。多重魔法や防御魔法など、特定の魔法技術を磨くための場所ですが、多重魔法を扱える者はおりませんが……」とガードナーが説明した。


 レイニーはその神秘的な光景に目を奪われ、「ここで皆が、どんどん強くなっていくんだね~」と感心した。




ガードナーは、観客席に戻るとすぐに人払いを命じた。


「観覧席の周りの警護を頼む。このエリアに人を近づけるな」


 警護兵に命じると、観覧席のある室内にはレイニーとガードナーだけが残った。真面目な表情のガードナーに見つめられ、レイニーは緊張が高まった。先ほどとは違い、ガードナーの笑顔は消えていた。


「いかがでしたでしょうか?」


 実際に間近で見ると、すごい迫力で、訓練の厳しさや過酷さ、そして兵士たちの努力の結晶がその強さに現れていることが理解できた。


「過酷な訓練を乗り越えて、今の強さがあると理解できましたっ」


「強さですか。お気づきになられましたか?」


「え?もちろんです。過酷な訓練に耐え、実戦を想定した訓練や特殊訓練はすごい迫力でしたっ♪」


「そのすごい技術の頂点ともいえる多重魔法をレイニー様はあっさりとお使いになられたのですよ。王国軍の魔術師の精鋭部隊でも扱える者はおりません。私も含めてです」


あぁ……そういえば使っちゃってたね、多重魔法。レイニーが困った表情をすると、ガードナーは微笑んだ。


「決して責めている訳ではありません。技術を磨いてさらに向上して欲しいですが、バレれば悪い奴らに利用される恐れもありますから……要注意です」


「はい。気を付けます」


「今回は、中級、上級魔術師のレベルを理解していただきたく見学をしていただきました。魔法技術の向上もしてほしいですが、まずは……周りの魔法の技術に合わせることを覚えましょうか。それから技術の向上を目指しますか」最後の方は、独り言のように話していた。ガードナーさんは、俺の心配をしてくれているようだ。


「午前中にお話した通り、私が講師を務めさせて頂きます。決して他の者に魔法を見せてはダメですぞ?」


「はいっ!分かりました」


 なるほど……今回の見学は、俺にこの世界の魔法の常識を教えてくれる見学だったのかぁ……。異世界特典も考えものだなぁ〜えへへっ♪ どうやら俺はチート能力を手に入れたらしいぞっ!



その後は、ガードナーにいろいろと教えてもらい、兵士と混ざり魔法のレベルを周りと合わせる事を覚えた。そして、場所は王家の屋内練習場にやってきた。最後に豪華で格好良い盾を的に置かれた。


「あの盾を貫通できますか?」


 珍しくガードナーが緊張した表情で聞いてきた。たぶん、可能だと思うけど……魔力を平均以上込めないとだけど? 良いのかな??


「魔力量は?」


「……」ガードナーは全力でと言いたかったが、結界を撃ち抜いた威力を考えると、被害の想像がつかないので言えなかった。


「盾を貫通出来るほどで試してみてください」ガードナーが少し間を置き答えた。緊張から期待をしている表情に変わっていた。


 初日と同じ様に構えファイアショットを放った。その瞬間、練習場全体に異様な静けさが広がり、次いで結界が青い光を放ち始めた。パシュ……と音を立てボフっとファイアショットが壁に当たり、キラキラと霧散して消えた。



 ♢♢♢



「……おおぉ。あのミスリル製の盾をいとも簡単に貫通させられるとは……しかも、その盾には上級魔術師が6人掛かりで掛けた結界が施されていたのだぞ。あははっ!」


 同時に、壁に埋め込まれたクリスタルが赤く輝き、柔らかな警告音が響いた。魔力吸収装置が作動し、余剰な魔力を吸収するために中心にある宝石が輝いた。


 ガードナーはその光景を見て、心の中で驚きと緊張が入り混じる感情を抱いた。


『まさか、ここまでの威力を持つとは…。レイニー様はただ者ではない。これほどの魔力を制御しきれる者など見たことがない』


 彼の心は、驚きと共にレイニーへの信頼と期待が一層強まっていった。


『この若さでこれほどの力を持ち、それを自在に操ることができるとは…。レイニー様がどこまで成長するのか、私も楽しみだ。すでに、この私をはるかに超える技術、魔力量に威力だな』


 ガードナーは深く息を吸い込み、再び平常心を取り戻すとレイニーに向き直った。


「素晴らしい、レイニー様。この調子で技術を磨き、さらなる高みを目指してください。あなたの才能は無限だが、練習場所に気をつけてください。何度も言いますが、他の者に見つかっては騒ぎになりますので……」


 ガードナーの表情には、心からの尊敬と期待が込められていた。その眼差しは、未来に向けての希望と信頼を象徴していた。


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