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第5話 ムスッとしたフィオナ王女

 翌日……


 俺には今のところは、妹のルナしか親しい人はいないので、朝から妹のルナを王城のプライベートエリアを探し回った。うぅ……ん、これじゃ妹のルナのストーカーみたいじゃん!?でも仕方ないじゃん。頼る人や話し相手がいないんだもんっ。


 怪しまれないように自然に、そっと個人の部屋以外を覗きやっと発見した。あ!ルナちゃん!?……って、なんだかお茶会をしてるみたい?これって、邪魔しちゃダメなヤツかな?でも、話が盛り上がってない感じだけど?お互いにつまらなそうだし……


 ノックをして返事が返ってきたので入室した。すると、ルナがニパァと笑顔になったので安心した。一応は、ルナには歓迎されてるっぽい。でも、相手の女の子がムスッとした表情で見てくる……


 ルナが笑顔で紹介をしてくれた。「あの、こちらは……わたしの兄のレイニーです。そして、あちらはルナリオン王国のフィオナ王女ですわ」


 わぁ……髪の毛が金髪でキレイで透き通る青い瞳だなぁ……でも、うぅ〜ん……仲良くなれそうにないね。ムスッとしてるし、嫌われてるっぽいし。


「レイニーです。宜しくね」と、いつもの笑顔で言った。そうそう、ルナを探してたんだよ……。あれ? なんで……探してたんだっけ? それも必死に探してたよね。一人でいるのが不安だったのかもなぁ……


 メイドさんが俺の分の紅茶を用意してくれて、気まずいお茶会に自ら参加してしまった。「えっと……なんのお話をしてたの?」話を聞いてみた。


「これといって、お話は……」ルナが苦笑いをして答えてくれた。


「そうなんだ。ルナ、この後さ、お昼一緒にたべよ?」可愛い妹のルナと一緒にお昼を食べれたら最高だなぁ♪


「はい。お兄様」笑顔で微笑み答えてくれた。


 ルナと魔法の話をして盛り上がり、フィオナの第一印象は最悪だったと思う。お客様のフィオナの相手をせずにルナとばかり話をしていた。でも、仕方ないでしょ……ムスッとしているのが悪い!


「フィオナは、魔法の属性は?」ルナと二人で話しているのも悪いと思い話を振った。


「……べつに。練習はしていますけれど……詳しくは知りませんわ」フィオナが興味なさそうな感じで、そっぽを向いて答えた。魔法にも、俺にも興味がなさそうだ。まあ、俺も興味はないけどね。今は、ルナちゃんが妹であり友人でもあるし。


「ルナは、午後から何するの?」と俺は聞いた。俺は魔法の練習をしたいだけで予定はない。ルナが暇だったら誘って、一緒に魔法の練習をしたいなぁ。


「えっと……ですね、今日はフィオナさんと一緒にいますよ。お兄様は……?」ルナも俺の予定を聞いてきた。ルナと一緒にいたいけど、ムスッとした王女様とは一緒にいたくない。それなら気軽に魔法の練習をしたいかなぁ。


「俺は……午後からは、魔法の練習をしようかなって思ってるよ」フィオナは、相変わらずそっぽを向いて話に参加する気がないらしい。一応、お客様だし、誘わないとかなぁ。


「ん……あの、お昼良かったら一緒に食べる?」恐る恐るフィオナに聞いてみた。


「わたしは、両親と食べるので……お構いなく」と即答された。関わりたくないんだろうなぁ。それにしても……ルナは大変だなぁ、ムスッとした子の相手をさせられてるんだから。


 とか思っていたら……メイドさんがやってきた。「ルナ様、国王様がお呼びでございます」と呼ばれて行ってしまった。あれ?これって……俺が相手をしないとじゃないの? えぇ……?


「はぁ……。どうしたの? ずっと不機嫌そうだけど……」思い切って聞いてみた。


「べつに……不機嫌ではないですわ。普通ですけれど」今度は、振り向き顔を見て答えてくれた……が、ムスッとしてるのは変わらず。


「そうなの? 隣に座っても良い?」


「ご自由に、どうぞ」べつに、仲良くなりたいわけじゃないけど……少しは気まずくなくなるかと思ったが、失敗かも。


 隣に座ったのは良いけど、何を話して良いのやら……我が妹よ、早く帰ってきてくれ。


「えっと……フィーは、なにか趣味とかあるの?」


「……フィー?フィーとは、わたしのことかしら……?」ムスッとした顔で睨まれた。会ってすぐに愛称で呼ぶのは、気が早かったかぁ……


「あ、ごめんね。嫌だったら……やめるよ」と謝り、他の話題を考え始めた。というかさぁ……。一応、話題も振ったんだけどなぁ……


「……レイくんは、趣味があるのかしら?」そっぽを向いて、たぶん……頬を赤くさせて聞いてきた。しかも愛称をつけてくれたらしい。それに俺に興味を持ってくれた? まぁ……気まずいからかな。


「俺は、魔法と冒険かな! えへへ……♪」と笑顔で話した。


「魔法は、分かりますけれど……冒険ですか? 冒険をしているのですか? レイくん……王子ですよね?」首をかしげて、ムスッとした表情から不思議そうな表情に変わっていた。


「うん。冒険をしてみたいな〜って……」異世界と言えば、魔法と冒険でしょっ! 冒険は……まだ、してないけど。これからだよ。うん、これから!


「あぁ……そういうことですの。あまり危険なことをなさらないでくださいね」初めて微笑まれた。その表情は初対面の時とは別人で……可愛く人を惹き付ける魅力を感じたが、元のムスッとした顔に戻ってしまった。


「まずは、魔法を覚えないとかな……。魔法を覚えるのが楽しくてさ」と話が盛り上がってきたところに、メイドさんとルナが部屋に入ってくると、入れ替わりにフィーが呼ばれて出ていった。


「お兄様、そろそろお昼ですね〜♪」俺の腕にしがみついてきた。


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