私にしかできないこと
私がやらなければいけないことが、あるから
伯父様と伯母様へ、私から
長剣を拾い上げ、私はハミルトンのもとへ再び歩きだした
剣が重い
私は長剣を引きずって歩く
さあ、やるべきことをやろう
私にしかできない
私がやらなきゃいけない
だって私は、伯父様と伯母様の姪だから
大好きな伯父様と伯母様の、姪なのだから
「アリシアよ・・・」
「・・・はい」
「お前はこのジェラルド・ハミルトンに勝ったのだ
そんな悲しそうな顔をするな
笑え、嬉しそうな顔をしろ・・・笑うんだ、アリシア・・・」
「・・・」
残酷なことをわが師が言う
私は不祥の弟子だけれど、でもこの方の弟子だから、だから、言われた通りにしようと思った
でもやっぱり、無理だった
手が震える
唇も震える
何もかもが、震える
「ふっ・・・」
仕方ないな、とでも言いたげに、この方は笑う
目のまえがぼやけて見えないけれど、わかる
・・・私は涙をぬぐう
「では、さらばです、わが師よ」
私は剣を構える
この方は、静かに目をつぶる
剣が、剣が震える
まだ、まだ言いたい言葉がある
「・・・さようなら・・」
私の声に、静かに、この方は目を開けた
「さようなら、伯父様」
その瞬間
伯父様の目は、元の目に、優しい伯父様の目に、戻った
私の大好きな、伯父様の目に
「アーネストに、よろしくな、アリシア」
「・・・はい、伯父様」
伯父様が優しく笑う
ああダメだ、しっかりしろ
一瞬でも伯父様を待たせてはダメだ
間を置かず伯母様のもとへとお送りしなければ
だってそれは、私の務めなのだから
だから、しっかりしろ、アリシア・ホワイト、しっかりしろ
伯父様が静かにゆっくりと目をつぶる
その最後の最後の瞬間私は、跳ぶ
伯母様、今伯父様を、そちらにお送りします
剣を横に薙ぎ払う
同時に、その方の首が、落ちる、地面に
私は振り返り、見る
紅く染まった地面と、体と、首を