最新技術により、恋人同士が脳内で感情や考えを直接シェアできる「シンクロデバイス」が登場した。
アキトとナナミは、付き合って3年。お互いをもっと理解したいと願い、このデバイスを使い始める。初めは感動の連続だった。
「すごい……アキトの気持ちが直接伝わる」
「ナナミの喜びがそのまま感じられる……まるで一つになったみたいだ」
しかし、次第に問題が生じる。
アキトは仕事のストレスを隠しきれず、ナナミは些細な不満や苛立ちをそのまま感じ取らせてしまう。
「なんでまたそんなことでイライラしてるの?」
「……ごめん。でも、もう隠せないんだ」
シンクロデバイスを通じて、感情がダイレクトに伝わることで、余計な摩擦が生じるようになった。
「私たち、前よりぎこちなくなってない?」
「……そうかもしれない」
結局、二人はデバイスを外す決意をする。
「言葉で伝えるって、大事だったんだね」
「うん……お互いの気持ちは分かるけど、それをどう伝えるかが大切なんだよね」
二人はデバイスなしで、再び向き合い、自然な関係を取り戻していく。
心を直接シェアするより、言葉で伝える温かさを知った二人の絆は、より深まったのだった。