深い山間に囲まれた、ひっそりと佇む集落、寒村。そこには、古くから伝わる恐ろしい伝説があった。村はずれの廃寺跡に鎮座する、首無しの地蔵。その地蔵には、凄惨な過去と、今もなお続く呪いが宿っていたという。
今から百年以上前、この寒村には、裕福な地主、
ある嵐の夜、村人たちは、辰五郎の屋敷に忍び込んだ。彼らは、辰五郎を殺害し、首を斬り落とした。そして、その首を、村はずれの廃寺跡に捨てた。その場所に、以前からあった地蔵に、辰五郎の首が置かれた。首無しの地蔵は、辰五郎の怨念を宿し、首無し地蔵となった。
それからというもの、寒村では不可解な事件が頻発するようになった。夜になると、地蔵の周辺から、うめき声や、何かが這い回る音が聞こえてくる。村人たちは、恐怖に慄き、夜道を歩くことを恐れた。
ある夜、若い娘、お菊が、その廃寺跡の近くで、奇妙な影を見かけた。影は、首無しの地蔵のそばを彷徨い、時折、不気味な光を放っていた。お菊は、恐怖に駆られながらも、影に近づいてみた。すると、影は、辰五郎の首の姿をしており、血まみれの顔で、お菊に襲いかかってきた。お菊は、悲鳴を上げて逃げ出し、その日の夜、彼女は高熱を出して倒れてしまった。
その後も、首無しの地蔵の呪いは、村人を襲い続けた。村人たちは、次々と、不可解な死を遂げていった。ある者は、夜中に首を絞められて殺され、またある者は、何者かに
村の長老たちは、首無しの地蔵の呪いを鎮めるため、様々な儀式を行った。彼らは、地蔵に供物を捧げ、読経を唱えた。しかし、呪いは一向に解ける気配を見せなかった。
ある日、村に、若い僧侶、
行空は、地蔵の呪いを解くために、辰五郎の霊を成仏させる必要があった。行空は、辰五郎の霊に語りかけ、彼の罪を許し、安らかに眠るように説得した。
長い時間をかけて、行空は、辰五郎の霊を成仏させた。そして、地蔵の呪いは、ついに解けた。村人たちは、喜びに満ちた表情で、行空に感謝した。
しかし、その夜、行空は、何者かに襲われ、殺害された。行空の死後、首無しの地蔵の呪いは、再び村を襲い始めた。村人たちは、再び恐怖に怯え、夜道を歩くことを恐れた。
首無しの地蔵の呪いは、永遠に続くものなのかもしれない。その呪いは、村の歴史に刻まれ、語り継がれていく。そして、寒村の人々は、いつまでも、首無しの地蔵の呪縛に怯えながら生きていくのであった。
それから何十年も経ち、寒村は