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同窓会 あわれと思へ クソ陰キャ 酒よりほかに 飲むものもなし ~参~

 さあ遂に開会しました同窓会。


 幹事から最初に指定された卓に着席してみたはいいものの、まあ案の定とでもいうべきか、まあ顔を見ても誰が誰だかまったく分かりません。


 このままではぼんげさんの人格面が疑われてしまいそうなので言い訳をしたいのですが、在学中すら関わりあったか怪しいラインの異性、しかもその15年後の姿なんて一体誰が判別できるというのでしょう。しかもそれが女性ときた日には尚更です。「私中学生のころから一切見た目変わってないよ~」なんて30代以上の女性がもしいるというのなら名乗り出てきて欲しいものです。卒業前最後の学年集会で当時の学年主任が「同窓会で『私は誰でしょう』という質問をするのは止めてください」と言っていたのはこういうことかと、15年越しに痛感した次第です。


 そんな訳ですので「人と話すときはちゃんと目を見て話しましょう」というコミュニケーションの常識は知っているつもりでも、服に貼り付けられた名札から目が離せません。大抵の方はそれを胸元に貼っているため、端から見たら話すときに胸を見るタイプのエロい人です。まあ名前だけ分かったところで感もありますが。あと余談ですが、この名札自分の手書きで作るので、ぼんげさんの字が汚いのもバレます。


 そんな微妙な関係性同士。話が盛り上がる訳もなく、そうなると取れる選択肢はただ一つ。そう、酒に逃げることです。ぼんげさんは乾杯用のとりあえずビールを2秒で飲み干し、白ワイン・ハイボール・ジンソーダまたまたビールと、地味に痛い会費6000円を酒だけで回収してやろうとがぶ飲みを決めることにしました。


 酒の力により人並みのコミュニケーション能力を手にいれたかと思われたぼんげさん。しかし、ザルなのが災いしたのかそんなには変わりませんでした。残念ですね。


 でも酒を5杯も飲み終わるほどの時間が経てば、さすがに多少は場慣れするというものです。そのあたりからは当たり障りの無い話ができるようになったような気がします。まあその代わりにここに書けるようなネタが生け贄に捧げられたわけですが。


 途中「下手な同年代よりも恩師相手の方が話しやすいな」ということに気付いてしまい、社会の荒波に揉まれていつの間にか培われたスキルの存在を無駄に実感しつつも、同窓会は無事幕を閉じました。


 まだまだ話したりない・飲み足りないという方々が二次会メンバーを募っているのを尻目に、左薬指に制約と誓約を抱えている身であるぼんげさんは大人しく帰路につきました。一夜の過ちなんてものに期待しても、その末に待つのは破滅だけであるということは、先人たちの屍が雄弁に物語っていますからね。


 ちなみに泥のように寝て起きた後の二日酔いの朝。酔っ払いたちによって凄い通知数にされていたグループラインで知ったのですが、23時過ぎスタートの三次会まで行った猛者たちもいたようです。もう30だっていうのに凄いバイタリティですね。ぼんげさんにはシンプルに体力的に無理です。



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