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同窓会 あわれと思へ クソ陰キャ 酒よりほかに 飲むものもなし ~弐~

「ぼんげ、もしかして今電車乗った? 似てる人見かけてもしかしたらと思って」


 本物の名探偵からのメッセージでした。何せ卒業から時すでに十云年、逆の立場だったら絶対に分からない自信があります。万が一分かっても声はかけません、もといかけられません。


 既読だけつけたものの、どう返そうか悩んでいるうちに2分くらいたったメッセージ。結局当たり障りなく「ソウダヨー」と返した結果、合流して一緒に行こうぜとのお誘いでした。あてもなくぼっち確定だったぼんげさんは、これ見よがしに勝ち馬に乗ることにしました。


 幸いその名探偵さんについては「言われれば思い出せる」程度の方でしたので、合流後は募る話のあれこれをしながら会場へと向かいました。具体的には、成人式の二次会のことを思い出し「いい雰囲気のイタリアンバルに集ったスーツの男子とドレスの女子。その姿はまるでキャバクラだったよね」なんて話をしたら「ああ美しく着飾ってたよね」と大人の返しをされ、人間性の違いをありありと見せつけられるなどしていました。


 ぼんげさんのクズさを証明するだけの話はさておき、問題なのはその名探偵さんの服装です。目の錯覚でなければ私服を着ているように見えます。途端に暗雲立ちこめてきました。


 まあまだマダガスカルです。在りし日の私みたいに、赤っ恥をかくのは彼の方かもしれません。すっかり社会のしがらみに染まった当たり障りのない世間話を繰り広げながらも、心の内では私と彼、写す価値無しになるのは果たしてどちらだ格付けチェックの結果しか頭にありませんでした。


 そんなかんなで会場前へ到着。入り口の前でも数人の皆さんにお会いできました。


 さて、気になるその服装ですが……。うん、みんな私服ですね。ま、まあ……まだいうて70人中の10人いかない程度のサンプルでしかありません。ここからの逆転サヨナラ満塁ホームランの可能性だってゼロではありません。


 ビハインドで迎える九回ウラツーアウト、なぜか代打の送られない敗戦処理投手みたいな気分で会場入りするぼんげさん。案の定会場にいたのは私服の方々ばかりで、ものの見事に赤っ恥をかくことが決定したのでした。これで2敗目。そろそろ二軍の足音が聞こえてくる頃合いですね。



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