昔々、赤いずきんをかぶった小さな少女、赤ずきんがいました。彼女は森を越えておばあさんの家にお見舞いに行く途中、狼に遭遇します。通常の物語では、赤ずきんは狼に捕まって危機に陥り、狩人が助けてくれるという展開が待っているのですが、この物語では、赤ずきん自身が狩人のような役割を果たすことになります。
ある日、赤ずきんが森を歩いていると、何かがいつもと違うと感じました。風の音がいつもと異なり、木々の間に不穏な静けさが漂っています。「もしかして、狼が近くにいる?」赤ずきんは警戒し、歩みを速めました。
そして、すぐにその予感が的中します。暗い森の中から、狼の目が光るのが見えました。狼は静かに赤ずきんに近づいてきましたが、彼女は怖がることなく、その場で立ち止まりました。
「今日は、逃げたりはしないわ。」赤ずきんは冷静に言いました。「あなたがどんなに恐ろしい存在でも、私はもうただのおばあさんの訪問者ではない。自分の力で、立ち向かうことに決めたんだ」
狼はその言葉を聞いて、驚きました。通常ならば、赤ずきんは恐怖に駆られて逃げ出すはずでした。しかし、彼女の瞳の奥に決意を感じ取った狼は、少し考え込むようにしました。
「お前、何か特別な力でも持っているのか?」狼は尋ねました。
赤ずきんは静かに頷きました。「私は、自分の力を信じている。あなたがどれだけ強くても、悪事を働くことは許さない」
赤ずきんは、狼が本当に危険な存在であることを理解しつつも、恐れずに戦う準備を整えました。彼女は森の中にある枝を手に取り、武器として使うことに決めました。狼はそれを見て、一瞬、嘲笑しましたが、すぐにその気配に警戒を強めました。
「お前がそんなに強いなら、どうして私を倒すつもりだ?」狼は再び挑発しました。
「倒すのはあなたではなく、あなたが引き起こそうとする危害だ」と赤ずきんは言いました。そして、彼女は素早く動き、狼の隙を突いて強い一撃を加えました。
その瞬間、狼は驚き、思わず後退しました。赤ずきんの力強さに狼は思わず恐れを感じ、次第にその態度を変えていきました。
「どうしてこんなに強いんだ?」狼は息を呑んで言いました。
「私は怖くない、何度も家族や村を守るために学び、訓練してきた。狼のような存在に負けないために、私は強くならなければならなかった」と赤ずきんは言いました。
その後、狼は赤ずきんに立ち向かうことをやめ、森の奥深くへと逃げていきました。赤ずきんはその場に立ち尽くし、胸の中で大きな安堵を感じました。
「おばあさんのところへ、無事に辿り着かなければ」と赤ずきんは再び歩き始めました。今までとは違う自分を感じ、心が強くなったのを実感しながら。
赤ずきんはその後も、村や森を守るために力を尽くし、ただの「おばあさんの孫娘」ではなく、村を支える勇敢な少女として、長く語り継がれる存在となりました。