浦島太郎は地上へ戻るのをやめ、竜宮城の未来を守ることを決意した。しかし、王となった彼が最初に目にしたのは、海底に広がる悲惨な光景だった。
海底に沈む人間のゴミ——
折れた漁網、朽ちた舟の残骸、無数の割れた貝殻に絡みつくビニール袋。美しいはずの海底は、どこまでも濁り、かつての竜宮城の輝きは失われつつあった。
乙姫が悲しげに言う。
「このままでは、海の生き物たちも竜宮城も滅びてしまいます……」
浦島太郎は強く拳を握りしめた。
「ならば、俺たちでこの海を元の美しさに戻そう!」
浦島太郎、海底のゴミ拾いを始める
まず、浦島太郎は竜宮の魚たちや亀たちと協力し、海底のゴミを回収する作戦を立てた。
・大きな漁網や舟の残骸は、力自慢のクジラやイルカたちが引き上げた。
・細かいビニール袋やガラスの破片は、小魚たちやタコたちが慎重に運んだ。
・砂に埋まったゴミは、カニたちが掘り返して回収した。
しかし、すぐには終わらなかった。海底のゴミは長い年月をかけて積み重なっており、拾っても拾ってもきりがない。
「これは……人間が捨て続ける限り、終わらないんじゃないか?」
浦島太郎は悩んだ。
地上と協力する
そこで彼は、人間たちと協力することを決意する。
海の汚れを水鏡に映し出し、漁村の人々に見せた。
「これが今の海の姿だ。お前たちが海を捨て場にしてしまえば、いずれ魚も消え、食べるものもなくなる……」
漁村の長老が深く頷く。
「浦島よ、気づかせてくれてありがとう……!」
村人たちは浦島太郎とともに海へ出て、海底のゴミを回収するための新しい漁法を編み出した。
・網の目を調整し、魚を傷つけずにゴミを回収できるようにする。
・不要になった漁具を回収し、再利用する仕組みを作る。
・浜辺にゴミを捨てず、海へ流れ込まないようにする。
竜宮城、再び輝く
数年後——海は変わり始めた。
濁っていた海水は透明度を増し、消えかけていた珊瑚礁が色を取り戻す。かつて住処を失った魚たちも、少しずつ戻ってきた。
乙姫は涙を浮かべて呟く。
「こんなにも美しい海だったのですね……」
浦島太郎は微笑んだ。
「これが、本当の竜宮城の姿なんだ」
人と海の生き物が協力し合うことで、竜宮城は蘇った。そして、浦島太郎は「竜宮の王」として、これからも海を守るために生きることを決意するのだった。
こうして、竜宮城は再び輝きを取り戻し、海と人は新たな関係を築いていく。
——浦島太郎は、ただの旅人ではなく、「海を救った王」として語り継がれることとなる。