俺も4月から大学生かあ。
肘川大学は所謂Fラン大学だけど、推薦もらえたし、この時期に受験勉強地獄から抜け出せただけ、よしとするか。
どーせ大学では遊び倒すつもりだし、だったらどこの大学行っても一緒だしな。
しかし一人暮らしの下見で肘川に来てみたけど、正直良くも悪くも普通の街って感じだな。
俺の地元よりはよっぽど都会だけど……。
まあここからなら東京も近いし、放課後はサークル仲間とかと東京でウェイできるか!
はあ~夢が広がるな~。
俺も早くデカくて丸いグラサン掛けてるような連中と、安居酒屋でウェイしたいぜ!
ん? 何だこの店?
『スパシーバ』、か。
スパシーバって確か、ロシア語で『ありがとう』って意味だよな?
てことはロシア料理屋か?
でも、イタリアの国旗掛かってるし、これもうわかんねぇな。
グ~
……。
そういえば今日、昼飯食ってなかったな。
少し早いけど、ここで夕飯にするか。
カランコロンカラーン
「いらっしゃいませ。お客様は何名様でしょうか?」
「ああ、一人です」
「ではお好きなお席にどうぞ」
「あ、はい」
俺は適当に窓際の席に座った。
まだ夕飯には早い時間なので、客は俺しかいない。
しかし今の店員、イケメンだけど、何か地味で垢抜けてない感じだな。
こりゃ俺と同じで、恋人いない歴イコール年齢ってやつだな。
そんなんじゃウェイには程遠いぜ!
見たところ俺より年上みたいだけど、俺のほうが先にウェイデビューさせてもらうぜ!
「いらっしゃいませー。こちらメニューになりまーす」
「え」
見目麗しい美少女が、メニューと水を持ってきた。
ニャッポリート!
何だこの子!?
メッチャ俺のタイプだ!
しかもオッパイ星人(死語)の俺にはわかる。この子、着瘦せするタイプだけど、実は隠れ巨乳だ!
隠れ巨乳の声優と言えば茅野〇衣!(急にどうした?)
「あのー、お客様? どうかされました?」
「あ! 何でもないです! えーっと、じゃあボンゴレのパスタ一つください」
「はいよろこんで! ボンゴレ一丁入りまーす!」
「え?」
居酒屋?
「未来延ちゃん、いつも言ってるけどその居酒屋のノリはやめなさい。うちはイタリアンレストランなんだから」
「こいつは失敬! ところで普津沢さん、私明日、上海に上海ガニを捕りに行くんですけど、よかったらご一緒にどうですか?」
「行かないよ! 何なの君のその、カニへの執着心!?」
何!?
あの地味野郎、マイエンジェルから旅行に誘われてるだと!?
調子に乗りやがって!
お前の座席だけ飛行機から墜落しろ!
しかしあの子、ミラノちゃんていうのかー。
凄く良い名前だ。
そしてあいつの名前はフツザワだな。
覚えたぞフツザワ!
夜道どころか、日中の道にさえ気を付けるんだな!
「はいよー、ボンゴレのパスタお待ちー」
「なっ!?」
パスタ来んの早っ!
まだ注文してから一分も経ってねーぞ!?
何なんだこの店は!?
いや、それよりも今パスタを持ってきてくれたおねえさん、この人もメッチャ美人だ!
しかもメチャクチャエロい格好をしている!
何て露出が多いメイド服なんだ……。
耳のところに魚のヒレみたいなのが付いてるけど、もしかしてこれ、何かのアニメキャラのコスプレなのかな?
そしてオッパイマエストロ(?)の俺にはわかる!
このおねえさんは確実にGカップはあるぜ!
Gカップはあるぜ!
大事なことだから二回(ry
ハッキリ言ってこのドエロメイドもメッチャ俺のタイプだぜ!
「ん? どーかしたんかお客さん? 早う食わんと伸びるで」
「あ、はい。いただきます」
イカンイカン。
Gカップを凝視してるのがバレるところだった。
どれどれ、パスタはなかなか美味そうだな。
俺はボンゴレのパスタを一口食べた。
……。
美味い!
何だこれ!? メッチャ美味い!
何て言うかこう…………メッチャ美味い!(語彙)
俺はパスタを口に運ぶ手が止まらず、気が付くといつの間にかパスタはなくなっていた。
こんな美味いパスタは初めて食べた……。
決めた。
大学生になったら、毎日ここに通おう。
「なあ先輩、今日はまだ菓乃子達は来ないんかな?」
「ん? さあな。いつもならそろそろ来る頃だけど……ってピッセ! 俺に胸を押し当ててくるなよ! 沙魔美に見付かったらどうすんだ!?」
「大丈夫や。魔女のいる前ではせーへんて。先輩もウチらの関係が魔女にバレたらマズいやろ?」
「俺達に関係があるみたいな言い方するな! 俺達の間には何もねーだろ!?」
何だと!?
あいつ巨乳美女とも関係持ってやがんのか!?
絶対に許さない!
俺がデス〇ートを手に入れたら、真っ先にお前の名前を書いてやるから覚悟しとけよフツザワ!
カランコロンカラーン
「いらっしゃいま……ああ、菓乃子。沙魔美は一緒じゃないのか?」
「うん。もう少しで来ると思うけど」
「そっか。今日はいつもの席は埋まってるから、こっちの席でいいかな?」
「全然いいよ。あ、堕理雄君、頭に寝癖ついてるよ」
「え? どこどこ?」
「ここここ。フフ、昔から、そういうところは変わらないよね」
何だ今のゲロ甘い遣り取りは!?
この野郎、この茶髪美女ともフラグ立ててやがんのか!?
お前絶対、モモテ〇で物件買い占めるタイプだろ!?
しかもオッパイアンバサダー(?)の俺にはわかる!
この茶髪美女は、オッパイの大きさは中の上ってところだが、その代わりとても形の良いオッパイをしている。
正直に言おう、この茶髪美女もメッチャ俺のタイプだ!
しかしこれでフツザワに対するヘイトがまた増えたぜ。
それにフツザワの下の名前がダリオだということもわかった。
後は漢字がわかれば、いつでもお前の名前をデス〇ートに書けるからな!
「オ、オウ菓乃子、ちょっとエエか?」
「え……何、ピッセ?」
「あー、何や、実は店長にネズミーランドのチケットを二枚もろたんやが……ジブンがどーしても行きたい言うんやったら、しゃーないから一緒に行ったってもエエで」
「え……別に行きたくないけど」
「なっ!? 何でや!? もっと自分に正直になれや!」
「なった上で言ってるんだけど……」
おや?
何だろう今の遣り取り……。
上手く言えないけど、ちょっとドキドキしてしまいましたね……。
カランコロンカラーン
「んん~、ビュリフォー。みんなベリベリビュリフォーだよー」
「沙魔美! その喋り方はみんなトラウマになってるんだからやめろよ!!」
「ホントに冗談が通じないわね堕理雄は。はい仲直りのチュウ」
ブチュウッ
「オイ! 人前で何すんだ! いい加減怒るぞ!」
えーーー!?!?!?
突然現れた黒髪巨乳美女と、フツザワダリオがキスをした。
お前お前お前お前ーーー!!!!
もしかしてお前、この一国を陰で操ってそうな絶世の美女と付き合ってんのか!?
ファーック!!!
もう決めた。
お前、デス〇ートに死因で、『豆腐の角を喉に詰まらせて死亡』って書いてやる。
しかもオッパイ検定準一級(?)の俺にはわかる!
この人のオッパイはワールドクラスだ。
ゆくゆくは世界を狙える器だろう(何の?)。
敢えて言おう、この黒髪巨乳美女もメッチャ俺のタイプだ!
「あっ、そうだ(唐突)。久しぶりにマイシスターの醜態が見たくなっちゃったわ私。それじゃあ今日も元気にいってみよう!」
「いくないくな! 他のお客さんもいるんだぞ!」
「南無三!」
「南無三じゃねえ!」
黒髪巨乳美女が指をフイッと振ると、突然ロリ体型の美少女が目の前に現れた。
え!?
何だ今の!?
もしかしてこの黒髪巨乳美女は、プロのマジシャンとかなのか!?
「ハッハッハー! 残念でしたね悪しき魔女! 今日辺り呼ばれるんじゃないかと思ってたので、お風呂に入らずに待ってたんですよー! もうあなたのいいようにはさせませんよ!」
「ふーん。それは別にいいんだけど、マイシスターが私に呼ばれるかドキドキしながら一人で待ってる画を想像したら、ちょっとだけ悲しい気持ちになってきたわ」
「なっ!? そんな慈愛に満ちた眼で見るのはやめなさい! 私が可哀想な子みたいじゃないですか! 元はと言えばあなたが……いや、不毛な言い争いはやめましょう。それよりもお兄さん、私お兄さんにお弁当作ってきたんです! よかったら食べてください」
「え!? 今!? いや、今は仕事中だし……普通お弁当ってお昼に食べるものじゃ……」
「……迷惑でしたか?」
「いやいやいやいや! 迷惑なんかじゃないよ! 後で必ずいただくから、今は一旦預からせてもらうね」
「はい!」
フ・ツ・ザ・ワー!!!
テメーこんな傾国の美女の彼女がいながら、こんなカワイイ妹までいんのかー!?
しかもフツザワとこのシスタープリンセスは全然顔が似てない……。
もしかして都市伝説の『義理の妹』ってやつじゃねーだろーな!?
てことは……何の問題もねーってことじゃねーか!?(何が?)
絶許!
お前、デス〇ートに死因で、『からかい上手の高〇さんを読んでキュン死にする』って書いてやる。
しかも好きなオッパイ発表ドラゴン(?)の俺にはわかる!
この子は所謂ちっぱいだ(誰でもわかる)。
オイオイ、俺を巨乳にしか興味がないやつだと思われたら心外だぜ?
もちろん巨乳も大好きだが、ちっぱいだって大好きだ!
巨乳を満漢全席のフルコースとするなら、ちっぱいは夏の思い出の流しそうめん。
どちらが上とか下とか、そういうものではないのだ。
そして意外に思われるかもしれないが、このシスタープリンセスもメッチャ俺のタイプだ!
「お兄ちゃーん。遊びにきたよー」
「ニャッポリート! マヲちゃん!? 何故ここに!?」
「頑張ったらこの世界に通じるゲートを、少しの間なら開けるようになったの。これからは好きな時にお兄ちゃんと遊べるよ」
「あ、そうなんだ……」
「……嬉しくないの?」
「いやいやいやいや! 嬉しいよ凄く嬉しいよ! でも今は俺仕事中だから、後で一緒にたけのこニョッキしようね」
「うん!」
突然角の生えた幼女が、何もない空間から出現した!?
まさかフツザワテメー、幼女の義妹までいんのか!?
これじゃ美少女の数え役満じゃねーか!
しかも「一緒にたけのこニョッキしようね」、だと!?
テメー幼女のどこに、たけのこをニョッキするつもりだ!?
もしもしポリスメン?
しかもオッパイデンプシーロール(?)の俺にはわかる!
この子は今は幼女なのでちっぱいだが、大人になったら立派なツインタワーが建設されるに違いない。
勇気を出して言おう、この角生え幼女もメッチャ俺のタイプだ!
カランコロンカラーン
「あ、いらっしゃいま……」
「やっほーパパー! また来たよー!」
「ペース早いな!? この間来たばかりだろう、多魔美!?」
「パパの驚く顔が見たくって」
「遺伝子とは斯くも恐ろしいものなのか……」
「ホウ! この子が噂のお兄さんの娘さんですか! 悪しき魔女と違って、可愛いじゃないですか」
「あ! 真衣叔母ちゃんだ。この頃から全然体型変わってないね」
「お、叔母ちゃん!? ……まあ、確かに叔母になるのか……。って、今、体型変わってないって言いましたか!?」
娘までいたーーー!?!?!?!?
ちょっと待ってくれ!?
今回ばかりは看過できないぞ!
だってあの子はどう見ても、あの黒髪巨乳美女の娘だ。
でも、黒髪巨乳美女もフツザワも、いって二十歳そこそこだろう。
それなのに、あんな小学校高学年くらいの娘がいるってことは……。
ガチクズの犯罪者じゃねーか!?
ポリスメンは何をやってるんだ!?
そんなんだから上野でJS三人組からバカにされるんだぞ!
しかもオッパイ夢気分(新番組)の俺にはわかる!
この子はJSの割にはオッパイが大きい方だ。
流石優秀なママの血を引いたサラブレッドなだけある。
将来はママの様な、立派な三冠ウマ娘になってくれることだろう。
よし、クリスマスには
そしてこんな時代だからこそ、俺は声を大にして言いたい、俺もこんな娘にパパと呼ばれたい!(実刑判決)
……ダメだ。
これ以上ここにいたら、俺のSAN値がゼロになってしまう……。
いいか、デカい顔をしてられるのも今だけだぞフツザワダリオ。
精々人生500回分くらいの幸福を、今のうちに味わっておくがいい。
お前来世じゃゴキブリの腸内細菌とかに生まれ変わるからな!
俺はフラフラになりながらも、伝票を持ってレジに行った。
「あ! ありがとうございました。うちのスタッフがお騒がせして、大変申し訳ございませんでした」
「ああ、いえ……」
「お会計は税込みで864円になります」
「じゃあ……これで」
「はい、千と4円お預かりいたします。では140円とレシートのお返しになります。ありがとうございました」
「どうも……」
俺が店を出る直前、黒髪巨乳美女と茶髪美女がヒソヒソ話をしているのが聞こえた。
「ねえねえ菓乃子氏、今お会計してた女の子、とっても可愛いかったわね」
「私も思った。ちょっとボーイッシュな感じだけど、そこが逆に萌えポイントだったよね」
……。
小説とかで、男っぽく描写されてた人物が、実は女でしたなんて叙述トリックがあるが、俺は正真正銘、男だ。
小柄で華奢な体型と、女っぽい顔のせいで、昔からよく女に間違われてきた。
今まで男には何度も告白されたけど、女の子からは同性の友達としか思われなくて、この歳でも未だに
大学生になったらウェイして、今度こそ
それだけは絶対にイヤだ!
おのれ覚えていろよ、フツザワダリオ!
ここでバイトしてるってことは、やつも肘大生の可能性が高い。
4月になったら大学でお前を探し出して、あわよくばハーレム要員の女の子を何人かおすそ分けしてもらうからな!
デス〇ートにお前の名前を書くのは、それまで勘弁してやる!
「お! ちょっとそこのカワイ子ちゃん! 今からアッシとお茶しやせんか?」
「……」
高身長でイケメンだが、いかにもチャラそうな男がナンパしてきた。
……。
お前はデス〇ートに死因で、『付き合ってる彼女に浮気がバレて、ナイスボートされる』って書いてやる。