グータの足音が、星の表面に響く。今、目の前に迫る艦船の影は、もはや逃げられないほど大きく、圧倒的な存在感を放っている。冷たい風が吹き抜け、彼の髪を揺らす。その風に、少しだけ覚悟が固まったような気がした。
「戦うって言っても、どうすりゃいいんだよ?」
グータは自嘲気味に呟いた。周りに見えるのは、ただの無機質な砂地と広がる空だけ。兵士の言っていた「力」というのが、今、どうしても実感できなかった。何もかもが、自分には無理だと感じてしまう。だが、それでも、何かが背中を押してくる。
兵士は無言で立っている。だが、その表情には迷いが見えない。彼は、ただグータに何かを託そうとしているのだ。どうしても、その目が気になる。
「お前に力があるんだろ? それを使え。」
兵士の言葉が、再びグータの耳に響く。だが、どうすればいいのか、その方法がわからない。
グータはもう一度空を見上げた。艦船は、今やほぼ目の前だ。そのサイズ感に、思わず圧倒される。まるで、全てを呑み込んでしまいそうなほどの巨大な影。だが、目を背けても、事態は変わらない。
「力って、俺には本当にあるのか?」
グータは心の中で自問自答する。自分が戦える力なんて、本当にあるのだろうか? だが、その問いに答える前に、耳をつんざくような轟音が鳴り響いた。艦船の影が、とうとう地表に降り立ったのだ。
「来たか…」
兵士はそう呟くと、一歩前に進み出た。だが、グータは動けなかった。どうしても、その場から動けずにいた。
その時、グータの胸の奥で何かが弾けたような気がした。それは、自分でも驚くほど強い衝動だった。恐れや不安を超えた、何かが湧き上がる。それは、ただの力ではない。自分の内側から、押し寄せる何か。
「お前には力がある。」
兵士の言葉が重く響いた。その言葉が、今、ようやく意味を成す気がしてきた。
「…わかった。」
グータは静かに呟くと、足元を踏みしめ、意を決して歩き出した。その一歩が、今までの自分とは違う何かを感じさせる。恐れず、立ち向かおうとする自分が、ようやくそこにいた。
艦船から降りてきたのは、異星の兵士たちだ。彼らは無言で、グータを囲むように歩いてきた。その目は冷徹で、感情を一切表さない。
「来たな。」
グータは、彼らの顔を見て、改めて戦う決意を固める。怖くなかったわけではない。むしろ、怖かった。しかし、ここで自分が何もしなければ、星が消えてしまう。それだけは避けなければならない。
兵士が後ろで呟いた。
「お前の力を信じろ。」
その言葉が、グータに新たな力を与えたような気がした。自分を信じる。そんな簡単なことなのに、今までどこかで躊躇していた自分に気づく。
「俺にはできるんだ…」
グータは、ようやくその一言を口にした。そして、目の前の敵に向かって一歩踏み出した。
その瞬間、全身に電流が走るような感覚が走った。何かが変わった。手のひらが温かく、じわりと力が湧き上がってくるのを感じた。それは、今まで感じたことのない感覚だった。自分の内側から湧き上がる、無限の力。
「これが…俺の力か。」
グータはその力を感じながら、ゆっくりと前進する。目の前に立つ異星の兵士たちは、彼を無視して近づいてくるが、グータは恐れなかった。
一人が攻撃を仕掛けてきた瞬間、グータの手から強いエネルギーが放たれ、その兵士を弾き飛ばした。その光景を見て、他の兵士たちは一瞬驚いたようだったが、それでもなおグータに向かって迫ってくる。
「さあ、かかってこい!」
その言葉が、自然と口から出た。グータはもう、躊躇していなかった。全ての恐怖を超え、戦う自分を受け入れた。その力を信じて。
兵士たちが次々とグータに襲い掛かる。しかし、今のグータには、その一撃一撃がゆっくりと見えるように感じた。手をかざすだけで、次々と光のエネルギーが放たれ、敵を弾き飛ばしていく。
その瞬間、グータは確信した。自分の力は、確かにここにある。そして、それを使って、この星を守らなければならないと。
戦いの中で、グータはただ一つのことを考えていた。
「これが、俺の運命なら…逃げられない。」
そして、その思いが彼の中で一層強くなる。
戦いが続く中で、グータの力はますます強くなっていった。異星の兵士たちは次第に撤退し始め、最後にはその艦船も、遠くに姿を消していった。
息が上がり、体力も限界に近づいていたが、グータはそれでも立ち続けた。星を守るために。
「…守れた。」
彼は、疲れ切った体でそう呟きながら、ゆっくりと空を見上げた。その空は、今までと変わらず広く、澄んでいた。
それが、グータの戦いの始まりだった。