目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報
episode2scan#4

私はその少年をカプセルから出した。


その少年はカプセルから出てしばらくすると息をした。




「大丈夫?」




私は優しく告げる。




「ああ…」




少年は困惑した表情を浮かべていた。


私が、機械族だとわかっているのだろうか。




私より幼い男の子。その子は私をじっと見つめ目をそらす。


私はそんな少年に疑問だったことを聞いた。




「心って何?」




「はぁ!?知るかよ!」




少年は一瞬考えて顔をしかめると大声でそんなことを言った。




「あんまり大声を出すとほかの機械族にバレて殺されるよ」




私が行ったその事実に少年はみるみる青ざめていった。


いくら強い男の子でも死ぬのは怖いらしい。




私はそんな少年を抱え移動する。


雨宿りする必要のないこの中国という国では、代わりに他の機械族にバレてはいけないという制約があった。


私はひとまず隠れられそうな場所に少年を連れていって、持っていた本を渡す。




「この本。見てどう思う?」




「?」




不思議そうに少年は本を受け取るとページを開く。しばらくして少年は本を閉じ一言吐き捨てた。




「感情がこもってない」




予想通りの評価が返ってきた。


機械族なのだから感情が通るはずもない。


そんな詩を見て感謝の言葉を残した女の子のことを思い出す。




ますますわからなかった。




「でも…」




そう言って少年は私に本を返しながら言う。




「いい詩だな」




そんなことを言う少年の頬には、涙がつたっていった。


その涙の意味は、やはり私にはわからなかった。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?