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第3話 初めてのクリスマスと百合の気持ち

その夜、同じ布団に入った。

百合は泊まると張り切って言っていたが、だいぶ緊張しているようで仰向けで身体をピンと伸ばし、視線は天井を向いている。言葉数も急に減った。

緊張をほぐすように腕枕をしおでこにキスをした。それだけでピクンと反応し少しこわばっていたが微笑んで頭を撫でると、微笑み返して密着してきた。無邪気さと無防備さが愛しかった。


「百合?怖かったら無理しなくていいんだよ?」


「ううん…。怖くないよ。緊張しているだけ」


「じゃ、今日はこのままこうしているだけにしようか」


「えっ?でも…」


「百合の初めてが怖かったり嫌な思い出になる方が、俺は嫌だ。だから無理矢理するようなことはしないよ。」俺は百合を気遣っているつもりだった。


「……。や、やだ…。やめないで。緊張はしているけど嫌なわけじゃないから…」


俺の服の袖をギュッと握り、振り絞るように言う百合を見て軽くキスをした。

舌を入れると驚いたように目を開けて「んっ、ん…」と言うので刺激が強かったか…と思い勢いを弱めてから、少しずつ、少しずつ、いつも以上にゆっくりと時間をかけて服を脱がしていった。そこから先の百合は思考停止状態で口をパクパクさせていたが痛さや怖さで嫌な想い出にならないよう細心の注意を払い、ことを進めた。


「大丈夫だった?」


「うん…、なんか衝撃が多すぎてよく分からなかった」


「嫌じゃない?痛くなかった?」


「なんか…なんて言えばいいんだろう。…へんな感じだった。でも初めてがまさ君で良かった…」


俺はもう一度抱きたくなる気持ちを必死で抑え百合を胸の中に引き込んだ。


****


私は、百合19歳の短大生。


クリスマスの1週間前に生まれて初めて彼氏ができた。彼氏の昌大とはSNSで知り合った。スーツにネクタイ姿の昌大を見て一目惚れだった。最初は何気ない会話から初めて、ばれないように好きなタイプや彼女がいるかを聞いたりさりげなく色々と聞きだした。相手がいないと分かってからは昌大の事ばかり考えていた。

どんな声しているんだろう、逢ったら違うのかな?休みの日は何をしているのかな?と気になってメールしたら、逢ってみる?と来たのですぐさま逢いたいと返事した。


当日はバイト先まで温かい飲み物をもって迎えに来てくれた。

「好みが分からなかったから…どっちがいいかな?」と温かいミルクティーとほうじ茶の2本を用意してくれて、店でも料理の取り分けや私がトイレに立った際にお会計も済ませるなどスマートな対応に大人の余裕を感じて惹かれていった。


その後も毎日連絡するようになり、メールだけでなく夜に長電話をする日も増えていった。こうしてクリスマスの1週間前に交際に至った。


今まで、彼氏がいたことがなく片思いばかりで初めての「彼氏」という存在に舞い上がっていた。



彼氏と過ごす初めてのクリスマス…。次の日は休みだったので泊まると答えてしまったが、お布団で寝て終わりではないだろう…。

きっとカップルしかできない大人の時間があるはずだ。私は、二人で熱く絡み合う場面を想像したがいつも恥ずかしさで顔を赤らめて背中に手を回し抱き合う場面で止まってしまい、その先は未知の世界だった。想像は出来なかったが、何かはあると思いバイト代で新しい下着を買った。



昌大に初めての彼氏だと伝えると、とても喜んでいた。

「百合の初めて彼氏と過ごす想い出が楽しくなるように」と張り切って、好きな食べ物やどんな風に過ごしたいか聞いてくれた。


当日は平日だったため、昌大の部屋で過ごすことにした。

部屋に入るとクリスマスツリーやカーテンにはキラキラと光る長いフープなど飾り付けがほどこされていた。

そして、手作りのシチューとローストチキン、ケーキも昌大自身が作りもてないしてくれた。ケーキはパティシエ顔負けの腕前で何枚も写真を撮った。


プレゼントには当時、学生だった私には高嶺の花だったティファニーのピアス。自分はピアスの1/10ほどの値段のマフラーだったので申し訳なさを感じていると「百合が喜んだ顔を見れるだけで幸せ」と抱きしめてくれた。

「絵にかいたような幸せとは、こういうことを言うのか。」と、とても幸せな気分に浸っていた。


その夜、同じ布団に入った。

泊まると言ったが、今になって緊張してきた。

『ひゃーーーやばい。どうすればいいの。もう緊張でおかしくなりそう』私は天井を見つめ固まっていた。

そんな私に昌大は、腕枕をしておでこにキスをしてくれた。


「百合?怖かったら無理しなくていいんだよ?」


「ううん…。怖くないよ。緊張しているだけ」


「じゃ、今日はこのままこうしているだけにしようか」


「えっ?でも…」


「百合の初めてが怖かったり嫌な思い出になる方が俺は嫌だ。だから無理矢理するようなことはしないよ。」


私は、初めては昌大が良かった。前日からご飯の準備や飾り付けをし高価なプレゼントも用意してくれた昌大。そして、今も私の緊張を察して無理強いはしないことに愛されていると感じた。

私は昌大がいい。そして今この瞬間、昌大に抱いてほしいと思い、服の袖をギュッと握り、振り絞るように言った。


「……。や、やだ…。やめないで。緊張はしているけど嫌なわけじゃないから…」


すると昌大は



いつもはここで終わる想像が現実になり、百合は思考回路停止寸前だった。


布団中で密着しながら、背中に手を回し慣れた手つきでホックを外し、下の服も脱がされていく。新しい下着を買ったが、布団の中だったので見れられることはなく床に落とされていった。


そのあとは衝撃の連続だった。触れたことのないものを手にし、また触れられたことのない場所に指や昌大が入ってくることに戸惑った。ゾクゾク、もぞもぞ、言葉にはうまく表現できない初めての感情に終始戸惑っていた。

昌大は百合を気遣いながら優しくゆっくりと進めてくれたが、百合は良さが分からないまま初めての夜を終えた。

一体、どうなれば男女が幸せそうに名前を呼び合ったり、微笑みながら「好き」と伝える状態になるのだろう。




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