そして、僕はどうやって僕の部屋に入ったのか覚えていないが、倒れこんでいた体勢から起き上がり。椅子を部屋の真ん中に置き座る。スイカンにより、ほぼ無くなった左足に目をやり、電子タバコにスティックを刺し口に咥える。柔らかな煙を口から吐き、ふと風が吹く。煙はサーっと流れる動きを見せる。すると、煙はだんだんと渦を巻き、何かが現れる。202号室の神が、そこに現れたのだ。
「よう、居住者。今回はご苦労だったな。で俺を誰だか理解はしているか?」
こいつが神か、神の髪は黒く長く胸まであるが、ずぼらに伸ばしているわけでは無く綺麗に真っ直ぐと揃っている。顔には黒いサングラスを掛け、丈の長い黒いパーカー一枚を着ている。サングラスのせいで男女の判別はつかないが、神なのだから、男女なんていう性別はもたないかもしれない。身長も弥辻より低く150cmあるかな、くらいだ。全然、神々しさが無いため少しがっかりした。
「舐め回す様に俺を見るな、このファッションは神界隈では、大流行しているナウいヤングには人気の羽衣ぞ。」
神界隈って、そんな界隈、初めて聞いたよ。そろそろ、この神様ともお話してあげないと、僕がシカトしていると思われるかもしれない。神様をシカトなんて、どんな天罰が喰らうか分からない。
「理解はしてるよ、んで、何で神様のあんたが出てくるんだ?あの顔面半分さんは、お礼も無しなのかな?」
神様は偉そうに腕を組み言った。
「あいつは成仏したよ。信介を守るって事が成就して安心してな。だから礼は、俺が直々に言ってやる。助かったぞ。居住者。」
そう言うと、神は指をさした、僕の左足があった個所に。すると左足の輪郭が浮かび上がり、輪郭の内側に、肌色が映る。まるで、絵を描いている様に、神様は手を動かす。そのまま、最後に手を上に勢いよくあげると、弥辻の足は復活した。復活というより復元した。動くか確かめるために膝を伸ばす、足の指を動かす。何の問題も無く動かす事ができた。やっぱり神様って、すごい。左足が無くなって、生活に支障が出るのを懸念していたが、神様のおかげで今まで通り生活できそうだ。
「これは、スイカンを誘き寄せてくれたサービスだ、感謝しろ。」
「ありがと。んで神様、スイカンってのは結局何だったんだ?」
「まず、神様は神様でも、俺にも名前がある、ニマルニと言う素晴らしい名前がな。今度から、ニマルニ様と呼べ。」
ニマルニ、、、202号室。マジか、そんな適当な名前なのか、本気で言ってんのかな。気を取り直し、もう一度訪ねた。
「ニマルニ様、スイカンは何者だったの?」
スイカンの存在が、ずっと謎だった。ニマルニ様と同じ神なら、あの顔面半分じゃ倒せないだろうし、動物みたいな顔をしていた所、人間で無いはず。
「あれは、霊だよ。人間だけが霊になるわけじゃない。動物だって霊になるのだ。スイカンってのは只の呼称でしか無い、犬や猫と呼ばれようが何も変わらない。少しばかり能力を持ってて、池を大事にしてた動物の霊さ。」
なるほど、幽霊なのか。まぁ、見た目がもう動物だったしなぁ、顔面半分が返り討ちにしたって、信介から聞いたから、幽霊対決して、結果、スイカンが負けたのか。