数十年後に力学博士になる男の子が幼い頃、不思議な出来事がちょくちょく起こった。
みんな怪奇現象だと言って怖がっていたが、男の子は「仕掛け」を作って人を驚かせていたらしく、いつも高みの見物だった。
しかし、学校で道徳の時間に男の子を戒める内容があったものだから、男の子は挙動不審になった。
「アーアー」
家にいる時、男の子の幼い弟がガラガラを片手にごきげんで振っていた。
男の子は時空の狭間から、赤ちゃんのおもちゃがころころぽろん、と落ちてきたのを目撃した。
「仕掛けがない!?」
超常現象に男の子は興奮して、いろんな本を漁って原因を突き止めようとした。
力学博士になっても、あの超常現象の理由は説明がつかなかった。
「あなた。マルコのおもちゃとってくださる?」
妻が子育ての最中に力学博士に言った。
彼はなんの気もなくおもちゃに手を伸ばしたら、ころころぽろん、と時空の狭間に落としてしまった。
「信じられないが、こことあそこが繋がってるのか」
「あなた!おもちゃは?!」
「30年前に落としてしまったよ」
「そんな馬鹿なことあるものですか!」
それは夫婦喧嘩に発展した。
いやはや。