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6月

結局6月に入っても剣は帰ってこず、7月の試験のためキャロルは昼休みに本田 太をチームに誘うべく3組へと向かう。




「では勧誘に行ってまいりますわ」




「おう、頼んだぜキャロル」




しばらくしてキャロルが帰ってくる。




「どうだった?」




「お話になりませんわ! 何を言っても『ドスコイ』しかおっしゃらないので、会話にすらなりませんでしたわ! 他の方を探したほうが早くってよ!」

キャロルは怒りながら腕を組みそっぽを向いた。




「太君は昔からそうだから・・・私も付いていこうか?」




「他を探すほうが良いと思いますが・・・正直あの戦闘力、他に取られれば厄介ですし・・・いいでしょうもう一度参りましょう」




3組に入るキャロルと千里。




「うわっ・・・又来たぞ1組の大久保。あと後ろのは円城寺だっけ・・・?」




「校庭に城を作ったっていう総合部員だろ? 太の奴もあんなのに絡まれるなんて可愛そうだよな」




一部の生徒が陰口を言う。




「でぇえええい!」




ゴスっと陰口を叩いた生徒にチョップと食らわせる。その余韻に銀色の長髪がなびく。




「何すんだ白髪!」




「陰口を叩くなんてみっともないよ君達~文句言うなら堂々と!」




妙はキャロル達の所へ歩み寄る。




「ごめんね~・・・キャロルっちと千里っち。うちのクラスのもんが」



妙は深く頭を下げる。




「いいですのよ別に。等級が低ければ馬鹿にされるのも仕方ありませんわ。・・・貴方は良い方ですわね白髪さん」




「いやぁ~良く言われるよ~はっはっはー! 太でしょ? おーい太!」



太は千里を見るとガタッと席を立ち千里へと歩み寄る。



「太君久しぶりだね! ちょっといいかな?」



廊下へと移動し立ち話をする3人。




「先ほど説明した通り、わたくし達のチームに入ってくださいまし」




「ドスコイ」




頭を抱えるキャロル。




「これですの。話会話になりませんわ」




「ちょっと待って・・・。私が話してみるね。太君。今度の大会どこかのチームにもう入っている?」




「ドドスコイ」




「まだ入って無いって!」




「貴方会話が出来ますの!?」




「私、中学の時太君とは同じクラスだったし。中学の時も落ちこぼれてた私に、優しく話しかけてくれて・・・そこから仲良くなったんだ。だから話してる事がわかるの。ね?太君」



太は少し赤くなり頭を掻く。




「貴方といい、守といい・・・」




「守君がどうかしたの?」




「いや、続けてくださいまし」




「太君・・・。7月の定期昇格試験なんだけど、私たちのEチームに入って欲しいなと思って・・・どうかな?」




「ドドスコイコイ」




「千里が居るなら入るってさ! やったねキャロルちゃん!」




「これで、何とかなりそうですわね。本田さんは無手術部に所属されてましたわよね? 良ければ週に1日2日こちらの武活に参加して下さらないかしら。出来れば今日の放課後にでも」




「ドスコイ」




「分かったって!」




教室に戻る2人。




「チームが揃ったのは有難い事ですが・・・沙耶といい本田さんといいコミュニケーションが取れない人が2名も居るのは頭が痛いですわ・・・」




「太君は素直でいい人だから安心して!」




「それはわかりますが・・・」




ー放課後校庭ー




「えっと・・・こちらは今度の7月の定期昇格試験の6人目のメンバーで、私の中学の時の同級生で1年3組の本田 太君です。」




「ドスコイ」




「俺は、黒田 守。お前の実力は知ってるぜ! 守って呼んでくれ、よろしくな!」




「本田っていやぁ振り分け試験の時、威力測定で特A取ってたな! こいつは頼もしいぜ! 俺は相良大地ってんだ!大地でいいぜ、よろしく!」




「種子島 沙耶。沙耶でいい」




「そしてこのわたくしは、この部の主将 大久保キャロルですわ! キャロルでよくってよ」




「ドスコイ」




「あ・・・太君は家庭の事情でドスコイしか喋れないの・・・。ちなみに今のは好きなように呼んでって言ったの」




「面白い奴だな! 仲良くなれそうだぜ、な、大地!」




「しかし太り過ぎだろ・・・見ろよこの腹ブヨブヨ・・・うわっ、固てぇ・・・」




「さて太。早速実力を見せて頂けますか? そうですわね・・・あの1tの鉄球を出来る限り遠くへ飛ばしてくださいまし」




鉄球の前に立つ太。両手を前に突き・・・そこから一瞬にして鉄球にぶちかます。


勢い良く弾かれた鉄球は、はるか遠くの校庭の壁に突き刺さり静止する。




「太君すっごーい! 中学の時より遥かに強くなってるよ!」



千里は太の手を握りピョンピョンと嬉しそうに跳ねた。

太は少し恥ずかしそうに顔を赤らめている。




「あの・・・もう太1人でいいんじゃねぇか・・・?」




「太単騎でいこうぜ、チーム太単」




「何言ってますの! 籠手田聖や山田三四郎の両名もこれほどとはいかなくても、近しい事は出来ましてよ!」




「ドスコイ・・・」




「確かに凄い【発気】です・・・しかし、連続では撃てず。仕切り直しが必要になってきますわ。一撃でしとめられない場合隙が大きいですわね・・・それを守、貴方がカバー致しますのよ」




「出来る気がしねぇが・・・やるしかねぇな!」




「その意気ですわ。さ・・・陣形について説明致しますのでミーティングルームへお願い致しますわ」




ーミィーテングルームー




「試験は3キロ四方の囲まれた、森・平坦な岩・ビルの3種類のステージの中で行われますわ。太と守は前衛で敵を食い止めて下さいまし。中衛でわたくしが心伝術を使い指揮をとりつつ、後衛で狙撃をする大地と沙耶に敵を近づけさせないように努力致します。千里はわたくしに背中を合わせ、わたくしの後方を守りつつ魔力の供給をお願いします。これが基本とする陣形ですわ」



皆こくりと頷く。




「相手の前衛が厚い場合などは、わたくしが前衛を担います。大地はその時ハンドガンに切り替えて、沙耶の所まで下がり護衛してくださいまし。千里はさらに後ろで2人の護衛をお願い致します」




「お前が一番にやられちまったら・・・誰が指揮取るんだ?」




「わたくしが一番にですって!?・・・可能性は少ないですが・・・その場合大地を指揮官として下さいまし」




「やっぱり俺しかねぇよなー!」




「大地より千里の方がいいんじゃ・・・」




「わたくしがやられているという事、は前衛が壊滅してしまっている可能性があるという事。そして後衛3人の内一番戦闘で、役に立たないのが大地ですわ」




『なるほど』



皆の声が揃う。




「おい! お前らひでぇな!」




「冗談ですわ。沙耶は口下手で、千里は自信が欠けていますの。大地、貴方ちゃんと戦略の勉強を今日からしてくださいまし」




「げ・・・マジかよ・・・」




「マジですわ。では明日より、仮想式戦略盤にての訓練も混ぜていきますので、よろしくお願いしますわ」





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