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放課後

放課後4人は再びいつもの校庭に誠の言っていた2名の新入部員を待つ。




「待たせてすまんかったのう」




誠の隣に1人にの女性が並んで歩いて来る。




「可愛いな」




「うん」




キャロルは2人に蹴りを入れる。




「ほれ、種子島君自己紹介を」




「種子島沙耶。・・・沙耶でいい」





僅かその言葉だけを放ち沈黙する沙耶。





「・・・え?」




「と、いうわけじゃ。この子は口下手で人付き合いが苦手でのう。武活入るくらいなら学校を辞めると言い出して困っておったのじゃ。キャロル君はどうやら知り合いなようじゃし」




「知り合い・・・というほどでもありませんですわ・・・中学の時の大会で完敗した相手で一年生で4人の特Aクラスの内の1人。それだけですわ」




「キャロルが完敗!? 特A!?」




「で・・・神代校長先生。2人と聞いてましたがもう一人は?」




「来ておるよ」




「どこにですの?」




誠の後ろから小さな少女がもじもじと出てくる。


その少女にキャロルと守には見覚えがあった。




「あれ・・・君は昨日の女の子?」




「あの念動力の少女がなぜここに・・・?」




「この子の両親は足を怪我してしまっておってのう・・・治るまでしばらく病院に入院せねばならんのじゃ。他に身寄りもおらぬので、ワシの孤児院で預かっておるのじゃが、どうせなら力の使い方を覚えてもらおうと思っての。前々からこの子のご両親はこの能力に困っておったようだし。ほれ、自己紹介を」






「わ・・・私は・・・平井ひらい かえでです。よろしくお願い・・・します」




「可愛いな」




「うん、可愛い」




「こんの・・・変態!」




キャロルの蹴りが2人に炸裂する。




「ほっほっほ。では頼んだぞ」




「ちょっと待って下さいまし! 武活として認めるとおっしゃるなら、活動する施設と部室を用意して下さいませ! まさかこのグラウンドが活動場所とかおっしゃりませんよね!?」




「そうじゃ。」




「仮想式戦略版や絶対防壁施設、威力測定器に武具製作研究所・・・どれも使えませんの!?」




「予算の関係での用意できぬ」




「あ・・・ありえませんわ! 青空教室しろって事ですの!?」




「そういう事じゃ。ふむ・・・部室はそこの敷地を自由に使うが良い」




誠の指先には30坪ほどの草の生えた空き地があった。




「部室が見当たりませんが・・・」




「ワシには見えるぞ・・・お主らが頑張って部室を建てている姿が。ほっほっほ」



そう言って誠は笑う。




「もう我慢なりませんわ! こうなったら立派な部室を建ててみせますわ! 皆さん明日は部室を建てますわよ!」




「おーいいなそれ! 何か楽しそうだな」




「漫画とか置こうぜー!」




「キッチンも置いてお菓子作りとか・・・」




『それはやりすぎ』




「そんなぁ~・・・」




一同に拒否され肩を落とす千里。




「ほっほっほ。好きにするがよい。明日からは優香君もくるからの・・・では活動が終わる頃に楓君を咲が迎えに来るのでなよろしく頼むぞい。ちなみに楓君にはレプリカコアを渡してあるので力のコントロールの練習に使ってくれ。ではワシは行くぞ」




そう言って誠は笑いながら立ち去って行った。




「んじゃまず自己紹介するか・・・俺は黒田 守よろしくな」




「俺は相良 大地。コアが使えないので銃を使っての戦闘が主だ」




「私は円城寺 千里。未熟だけど一応魔術使いです」




「わたくしは大久保 キャロルこの武活の主将ですわ」




「おい、いつお前が主将になったんだよ」




「当然でしょう? それとも守、貴方が主将しまして?」




「嫌・・・俺はいいや」



守は手を振り拒否する。




「よっ主将!」




「大地・・・貴方に言われると腹が立ちますわね」




「私もキャロルちゃんが適任だと思う」




沙耶はやり取りに興味が無いのか、近くの階段に座って本を広げて読み始めてしまった。




守はおどおどしている楓に近寄る。




「えっと・・・楓ちゃんよろしくね」




「あ・・・あの・・・昨日は助けて頂きありがとうございました。父と母もお礼を言っておりました」




深々と頭を下げる楓。




「まだ小さいのによく出来てるな~・・・なぁキャロル」




「何か言いたい事でもありまして?」




「あっあの・・・私この力で家族や周りの人に迷惑いっぱいかけちゃって・・・お兄ちゃん・・・この力の制御の仕方教えてください!」




「まかしとけ!」




胸をドンっと叩いて自身満々に言う守。




「と・・・いうわけでキャロル頼む!」




「あんた今任しとけって言いましたわよね? あんたが教えなさいよ」




「よし。代わりに俺が。俺もお兄さんって呼ばれたい」




「変態。バカ大地あんたはもっと無理でしょう。さて・・・バカは放っておいて・・・。楓、力を見せてくれるかしら?」




「えっと・・・どうしたら・・・」




「神代校長にレプリカコアを握って、あの校庭の隅にある練習用の鉄の塊を、自分の出来る限り重いものを浮かして下さいまし。左から順に50㎏100㎏300㎏600㎏1tとなってますわ」




「はい・・・」




楓はポケットからレプリカコアを取り出し左手に握り、右手を対象の鉄の塊に向ける。




「出来るかな・・・」




(わたくしが全力で300㎏少し上がる位ですので、あの子なら600㎏位は上がるかもしれませんわね)




「ええい!」




掛け声とともに手を上に上げる楓。


すると地面に落ちていた鉄球全てが宙に浮いてしまった。




「おーすごいなぁ楓ちゃん」




「すごいすごい」




関心する2人をよそにキャロルと千里は空いた口が塞がらない。




「キャロルちゃん・・・あの子・・・」




「超念動・・・この目で初めてみましたわ。あの子・・・すさまじい力ですわ」




「あ・・・あの私どうしたら・・・このままじゃ・・・」




浮いていた鉄球がプルプルと震え始め、そしてビリヤードの玉のように凄い勢いで弾け飛び、その中の一番大きな玉が守達へと飛んでくる。


突然の事で一同は反応できず顔の前に手を構える。




ズウゥンンと大きな音と共に、飛んできた大きな鉄球はキャロル達の手前で静止し地面に落ちる。


その鉄球からは煙が立ち上り、大きな穴が開いていた。




他に飛んでいった4つの鉄球はそれぞれ粉々に砕け地面に破片が転がっている。




「沙耶・・・助かりましたわ」




後ろの方の階段に座っていた沙耶が本を読みながら構えていた銃を降ろし、何事も無かったかのように本の続きを読み始める。




「流石は【一発雷】の異名を持つ沙耶さんですわね」




「別に」




「ごごご・・・御免なさい! 私この力の扱いあんまり上手く出来なくて・・・」




楓は深々と何度も頭を下げる。




「とにかく・・・楓、まず貴方は一番小さな鉄球を自在に操れるようになって下さいまし。貴方の場合、魔力総量が多いと言うより本来の能力が強いので制御の腕輪は使えませんし。ですので下手に制御するよりも、全力を自由に扱えるようになる事のほうが重要ですわ」




「わ・・・わかりました」




「沙耶は楓さんの動かす鉄球を打ち落とす練習をしたらいかがかしら?」




「断る」



短く。そしてはっきりと沙耶は言う。




「おお! 何か入学した時のキャロルを見てるようだな」」




「わたくしはこんなに無愛想ではありませんでしたわ!」




『よく言うわ』




「なんですって!? 守と大地はさっさと走って来いですわ! 今日はずっと走っててくださいまし!」




2人を蹴飛ばすキャロル。




「お姉ちゃん暴力は良くないと・・・思います」




「言われてやんのー!」




「何ですって~~~!」




「お・・・大地逃げるぞ!」




「おう!」




2人は逃げ出そうと走り出すが前に全く進まない。


良く見ると2人は宙に浮いている。




「お2人は本当に仲良しですわね・・・? そんなに仲良しなら・・・もっと仲良くさせて差し上げますわ」




「何言ってんだキャロル!? 降ろせって!」




「わたくしも少しは念動力を使えますのよ。人に使うのは本来いけない事ですが・・・」




暴れようとするが体の自由が利かない。ついに抱き合ってそして・・・




ブッチュウウウゥウウ。




楓と千里は恥ずかしく目を手で覆っている・・・が、千里は隙間からこっそり見ていた。




「俺の・・・ファーストキスが・・・」




「俺の・・・セカンドキスが・・・」




「大地お前初めてじゃ無いのか!?」




「ああ・・・男は初めてだがな・・・」




「2倍きついぜ・・・」




2人はしばらく膝を突いたまま動けなかった。







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