目次
ブックマーク
応援する
4
コメント
シェア
通報

罪と罰

とりあえず登校した守は校門で旋風会長に呼び止められ、校長室へ向かうように指示される。


校長室では先に登校していた千里と大地、そして誠と咲が待っていた。




「お前ら・・・無事で良かった」




3人は無事に再開出来た事を抱き合って喜んだ。




「おいてめぇら、ぼろ雑巾になっていたお前らを俺が治してやったんだ、感謝しろコラ」




誠の横に立っていた咲が睨みながら言う。




「あ・・・ありがとうございました。」




「フンッ。てめぇの腕はまだ完全じゃねぇ。あんまり衝撃与えんじゃねぇぞ」




咲は舌打ちしてそっぽを向く。




「あの・・・キャロルと剣は・・・?」




「ほっほっほ、彼女らは本日、自宅謹慎を言いつけておる。処罰は追って通達すると言ってな」




「無事でしたか、よかった。」




「俺が居たんだ無事に決まってるだろ! 殺すぞてめぇ」




咲を片手で制し誠が言う。




「君達、今回の事件は他言無用に願いたい。ドラゴンの召還は世界共通で禁止とされているのは知っておるな? 今回の事が周囲に知れればキャロル君や剣君は重罪人として処罰される、もちろん知って隠したこのワシもじゃ。しかし君達がキャロル君に酷くバカにされ尊厳を汚された事も知っておる。あくまでこれは命令ではなく私の個人的なお願いじゃ。どうするかは君達が決めてよい」




誠は3人を正視する。




守が口を開く。




「あいつらはクラスメイトです。ムカつく奴らだが罰してほしいとは思いませんよ。な、2人共」




大地と千里もうなずく。




「ほっほっほ。よろしい! では下がりなさい。・・・守は少し残ってくれんかの?」




守を残して2人は退出する。




「安心するがよい。あの2人は君の正体には気が付いていおらぬ。キャロル君彼女は意識があったので気が付いておるかもしれんがの」




「お久しぶりですね神代さん。と言っても小さい頃以来なのであんまり覚えてはいませんが」




「元気にしておったようで何よりじゃのう。で、学校生活はどうじゃ?」




「何だジジィこいつと知り合いだったのか?」




「昔色々あってのう」




「どうもこうも劣等性でいじめられてますよ、でも友人は出来ました本当にいい奴らです」




「ほっほっほ。それは良かったのう。・・・しかし君の正体を知っても友人で居てくれるじゃろうか」




守は下を向き拳を握り黙る。




「打ち明けるかはお主が決めるのじゃ。所でお主、配布されたレプリカコアは反応せんかったじゃろう」




「なぜそれを?」




「それはお主がすでに体内にコアをもっておるからじゃよ。コアとレプリカコアの併用は出来ぬからのう、ほれこれを持ってみなさい」




そう言って守にコアを投げ渡す。


受け取った守は力が満ちてくるのを感じた。




「この満ち溢れる感じ・・・これがコアの力・・・」




「それは本物のコアじゃ、クラス1のじゃがのう。それがコアを使う感覚じゃ覚えておきなさい。さ、コアを返すのじゃ」




守はコアを返す。




「お主は昔、優香を傷つけたトラウマでコアの力を無意識に封じておった、が、今回生命の危機に瀕し再びドラゴンの姿になった事で力が流れ始めたはずじゃ、その力を恐れず正しい方向に使いなさい。そうじゃ、お主にこれをやろう」




そう言って机の中から箱を取り出し取り出し机の上に置いた。

その中から何かを取り出す。




「これは・・・?」




「ワシが昔使っておったガントレットじゃ、お主にやろう。」




そのガントレットは綺麗に手入れされていたが、布の部分は真っ赤に染まっていた。

それが血である事を守は瞬時に理解した。




「どうじゃ?」




ガントレットを持ち上げた守はひと言




「・・・臭そう」




咲が一瞬で守の胸倉を掴み、息のかかりそうな位置にまで顔を近づけて言った。




「いい臭いがする。訂正しろ」




その目には殺意がにじみ出ていた。




「咲。やめなさい」




咲は後方へ飛び去り、元居た場所へと戻り納得のいかないような顔でそっぽを向いている。




「そうそう、この手紙を今日キャロル君に届けてもらえんかのう? 直接キャロル君に手渡して欲しいのじゃ」




誠は手紙を守に手紙とキャロルの家の地図を渡す。




「わかりました」




「では守。話はこれで終わりじゃ、下がりなさい」




守は一礼し校長室を去る。




「おいジジイ。」




「なんじゃ?」




「俺にも何かジジイのくれ」




「後は靴くらいしか無いんじゃが」




「くれ」




「・・・」




校長室を何とも言いがたい雰囲気が包みこんだ。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?