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特訓

放課後のグラウンドの隅の方で守・大地。千里の3人は集まって訓練をしていた。




「うおおおおおおお!」


「ぬおおおおおおお!」




守と大地は気合を入れて叫ぶが何も起きない。




「どうやったらいいんだよ!? ちくしょう!」




2人は疲れ果て地面に座り込む。




「なぁ、何かコツとか無いのか千里」




「わ・・・私もあんまりコントロール上手くないし・・・。でも、私ですらそのレプリカコアを握ったら使い方は直感でわかったんだけど・・・。2人は何も感じないの?」




「ぜんぜんわっかんねぇ!」




と大地。




「大体この力の使い方と特性っていう教科書1行目【コアを握ります。力が湧いてきましたね?】


 こねぇよ! 大体この学校の授業はコアが使える事が前提すぎて、俺らほとんど見てるだけだぞ!」




そういって守は教科書を地面に叩き付ける。




「やっぱ俺らって才能ないのかなー?」




そういって空を見上げる大地。




「おい大地! そう簡単に諦めるんじゃねぇよ!? もし本当にそうだとしても努力して努力してそれでも駄目なら対龍用武器とか使ったらいいだけだろ?」




「そうは言ってもなぁ~・・・」




「まぁまぁ・・・2人共ちょっと休憩しようよ・・・ね?」




千里は2人にスポーツドリンクを手渡す。




「優香姉にでも相談してみるかな」




「そういえば守は黒田先生の弟だったよな?」




「まぁ一応・・・」




「黒田先生って素敵な人だよな! 強いし綺麗だし! 俺憧れちゃうな~」




大地は頬を赤らめている。




「優香姉はやめとけって。アプローチしても無駄だぞ多分」




「大地君じゃ・・・無理だと思うな」




「なんだよ千里お前まで! ひっでーなー!?」




3人の笑い声が空に吸い込まれて行った。




「ほんと馬鹿みたいですわ」




その様子を遥か屋上から見下ろしていたキャロルが呟く。




「下準備が整いました姫様。・・・気になるのですか?彼らが」



キャロルの眉があからさまに不機嫌を現した。



「ふんっ・・・努力ではどうしようもない事があるってなぜ分かりませんの!?」




「私は姫様に噛み付く彼らは嫌いですが、強くなろうと努力をしている人を正直嫌いにはなれません」




「何か言いたい事でも?」




キャロルは剣を睨み付ける。




「失礼しました」




剣は頭を下げる。




「決行まであと1週間。残りの準備は決して怠らない事。よろしくて?」




「はっ!」



二人の立つ屋上に春らしからぬ、冷たい風が通り過ぎた。







帰宅した守は鞄を下ろし着替え始める。




「ただいまー、あれっ?母さん・・・優香姉は?」




「まだ帰って無いわよ?」




そう言っていると玄関のドアが開き優香が入って来た。




「ただいまー」




「お帰り優香姉」




「お帰り優香。ご飯出来てるわよ」



「ごっはん♪ごっはん♪」



優香は子供のように喜び、着替え始めた。




支度の終わった2人は食卓に着く。




「なぁ優香姉、俺と大地はレプリカコアってやつ使えないんだけど・・・何でかわかるか?」




から揚げを食べながら聞いてみる。




「うーん。大地君の方は分からないけど、あんたの場合は体質じゃないかしら?」




「体質か・・・でも俺コアが使えないと学校で何も出来ないぞ。悔しいだろそんなの」




から揚げを追加でつまむ。




「私も調べてみるわね。」




「頼む」



いつもは生意気な守が素直に頭を下げたのを見て、優香は少し驚いた。




「私は貴方の担任なんだし、生徒の悩みを解決するのも私の仕事だから、姉ちゃんに安心して任せて!」




優香は得意げに胸を張る。




守は無視して食事を続ける。




「あの・・・守・・・私もから揚げ食べたい」




優香はもじもじして頬を赤らめている。




「食えばいいだろ」




「だってまだ守まだ食べ終わってないし」




「気使いすぎなんだよ!」




そういって守はから揚げをかきこむ。




「守のいじわるー!」




この後、守は母にめちゃくちゃ怒られた。







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