「はぁ~・・・」
守に千里、それにシールドを殴って拳を痛めた 相良 大地を加えた3名は揃ってため息をつく。実力も無くチームを組んでくれる者も居ない3人は、自然と寄り合ったのであった。
「おい、あいつら余り者トリオだぜ、あんな実力でよくこの特戦校に入学出来たよな」
「守って奴黒田の孫らしいぜ、裏口かよ・・・ずりぃよな」
「あんな奴らと組む奴なんて居ねぇよ」
周りのクラスメイトが囁いている。
チーム分けといっても、生徒の意思は尊重され、お互いの合意があれば好きな相手を選ぶ事が出来るが、先程の試験の結果から、この3名と組もうという者が現れないのは当然の流れである。
「っち・・・好き勝手言いやがって・・・でも何も言い返せねぇ~・・・」
「まぁ落ち着けよ黒田。俺達は振り分けであの様だったんだから仕方ないだろ?」
相良がなだめる。
「相良って言ったっけ? まぁ折角同じチームになったんだから頑張って行こうぜ! 俺の事は守って呼んでくれ」
「私も千里って呼んでね。よろしく相良君」
「よろしくな! 2人共俺の事も相良じゃ無く大地って呼んでくれよな!」
3人は硬く握手を交わす。
「そういえばチーム名も考えないとな、どうするよ?」
3人はしばらく考えた後、守がつぶやく。
「Eチーム・・・ほら良・い・チームって・・・駄目か?」
2人は守を見る。
「ほら、俺達評価オールEだったろ?だからここから這い上がってやるぜって意味と、良いチームになれるようにって・・・」
「いいなそれ!」
「私達らしくて・・・いいと思う。初心を忘れないようにもなりそうだし」
「んじゃ・・・チームEで! ここから3人で這い上がっていこうぜ!」
「おー!」
3人は腕を上に挙げ団結する。
盛り上がる守達をキャロルが睨む。
「まったく、目障りな3人組みですわね」
隣にいたキャロルが見下しながら言い放つ。
「何だと! 口利いたと思ったらバカにする事しか出来ねぇのかお前は!」
守は立ち上がり向かって歩き出すが大地が止める。
「落ち着け!」
「ですが、そこの貴方は私が使って差し上げても結構ですわよ」
そう言ってキャロルは千里を指差す。
「まあ、私の
「タンク・・・? タンクって何だ?」
それを聞いた千里は目を逸らし青い顔をしている。
「おい! お前・・・いい加減にしろ!」
守を抑えていたはずの大地が大声を出す。
「いいの! 大地君・・・守君・・・もう・・・いいから」
そう言いながら下を向いて2人の服の裾を掴んだ。
「考えておいてくだ下さいまし。あと、私は特Aですので上司です。敬語を使ってくださいます?」
軍曹階級の胸のバッジをトントンと2回叩き、そのまま去って行った。
「士変わらず嫌味な奴だな・・・。所で大地。タンクってどういう意味なんだ?」
そういって守は大地の方を見る
「戦術の1つとして、大怪我をして戦えなくなった術者や実力の無い術者を魔力供給のためだけに戦場に連れて行き、文字通り魔力タンクのような使い方をする事がある。タンクって言うのは才能が無いって事を表す一種の差別用語なんだよ」
意味を理解した守は拳を強く握る。
「悔しいが俺達がいくらわめいても相手にされない。力が無いから。だったら・・・見返してやろう! 練習して練習して! なろう! 強く!」
その力強い守の言葉に2人の目に光が宿る。
「応! 頑張ろうぜ!」
「うん、頑張ろう! 3人で出来るよきっとこのメンバーなら!」
「よーし! 今日から毎日放課後特訓だ!」
「おーう!」
そう言って3人は手を繋ぎ決意決意を新たにする。
周りからは笑いが起きたが、3人は気にも留めていなかった。
廊下を早足で歩くキャロル。その拳は強く握り締められていた。
「何であんな奴が、何で私じゃなありませんの・・・!力が欲しいのはわたくしの方なのに・・・!」
「姫様。準備は順調に進んでおります。」
横を歩いていた剣が話しかける。
「手に入れてやりますわ・・・。こんなレプリカじゃない本物のコアを」
レプリカコアを握るキャロルは覚悟を決めた瞳をしていた。