「
スーツ姿で小さなハンドバッグを手に持ちつつ、長い黒髪をなびかせながらその女性はせかせかと準備をしている。
「わかってるって
パジャマ姿の守が優香にむかって大声を出す。
「ご・・・ごめんなさい」
怒られた優香はしょげながら指をもじもじしている。
「でも正直驚いたわ。あなたがまさかうちの東京特戦校高等学部に入学する・・・出来るなんて」
「俺だって驚いてるよ。まぁ親の・・・いや、祖父の七光りかもな」
「そう言わないの。貴方は自分の才能を信じて頑張りなさい。姉ちゃんは信じてますよ? あと学校ではちゃんと黒田先生って呼んでくださいね?」
優しい笑顔で守を見る優香。
「ふんっ」
守は照れたようにそっぽを向いた。
ざわざわ・・・
特戦高に向かうであろう人ごみに混じって守も歩いている。校門をくぐろうたしたその時
「きゃっ」
小さな声を出し一人の女性が倒れこんだ。
「ご・・・ごめんなさい。よそ見してて」
倒れた女性は、ぶつかったであろう金髪の女性を見上げながら謝っている。
その金髪の女性は、まるで潰れた蛙を見るような蔑む目で上から見下ろす。
「どんくさい女ですわ。貴方みたいなとろい奴が災厄から国民を守る戦士を目指しているなんて虫唾が走りますわ。今すぐそのまま回れ右して帰りなさいませ。そしたら私がその他大勢の国民の一人として貴方を守ってあげますわ」
「ひっ」
倒れた女性は泣きそうな顔をして怯えた声を上げる。
「おい金髪のお前! 言いすぎだろ! ちょっとぶつかっただけじゃないか!」
守は咄嗟に倒れた女性の前に遮るように立つ。
金髪の女性は何も言わず、きびすを返し校舎へスタスタと歩き始める。
この騒ぎを見ていた周りの野次馬がどよめき始めた。
「あの金髪の女性・・・もしかして
「大久保 キャロルっていや、大久保一族の令嬢にして中等部の対龍戦技大会で5位入賞した天才だろ? この学校に入学したのか・・・」
「おいお前ーーー」
守がそう言って追いかけようとした時
キャロルの隣に立っていた男性が腰の刀を抜き、守にその切っ先を突きつける。
「貴方に覚悟があるなら、その校門を越え学校の敷地に入りなさいませ。学校の外での学生の戦闘行為は非常時以外、上官の許可が無い限り禁止されていますの。ですが敷地内では決闘が許可されていますわ。さぁ、どうしますの?」
「謝れよ」
守は突き出された刀の刀身を握り、切っ先をずらし前へと前進する。手からは血が流れ、地面に滲む。
「俺はお前みたいな奴が大嫌いなんだよ・・・!」
守は鋭い目つきで睨み付けた。
それを見たキャロルは小さくため息をつく。
「根性だけのバカね、私の一番嫌いなタイプだわ。いいでしょう相手になって差し上げーーー」
「どうした? 何か騒ぎか?」
校舎の正面から薄い青みがかった髪の女性が歩いてくる。胸から下げたペンダントにはコアがはめられてい。
「ひょ・・・
野次馬一同は驚き、同時に蜘蛛の子を散らしたようにその場を立ち去って行った。
氷雪はキャロルを睨み付ける。キャロルも負けずに睨み返す。
「ふんっ・・・行きますわよ
「その手を離せ。指が飛ぶぞ」
守は握っていた刀身を放す。
剣は刀を納め振り向きざまに守を睨みつけ言い放つ。
「姫様には近づくな」
そういい残し2人はその場を去った。
「ごめんなさい私のために・・・怪我見せて下さい」
「あいつら絶対いつか謝らせてやる!」
そういって拳を握りしめる
「いってーーー!」
「なにやってるんですか! 手切れてるんですよ!?」
「あはは・・・忘れてた」
「ふふふっ。・・・貴方も結構なドジさんですね。あっ・・・・私
「俺は
そういって握手を交わす2人。
「痛ってーーーー!」
手から血が噴出す。
「そうでした! 怪我してるんでした! 誰か治癒術お願いしますーーー!」
守にとって散々な入学初日だった。