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ドラゴンズゲート~Dragons gate~
ドラゴンズゲート~Dragons gate~
天孤
現代ファンタジー都市ファンタジー
2025年01月27日
公開日
16.5万字
連載中
この世界が始めてドラゴンと関わりを持ったのは約200年も前の事。
ヨーロッパ付近で初めてその存在が確認され、多くの犠牲を払いながらもかろうじて捕獲に成功する。

その一体目の出現以降しばらくして、世界各地でドラゴンの目撃が
相次いで発生した事が各国の文献に記されており、ドラゴンの発生源はどの国でも共通で空間に亀裂のような裂け目から出現する事が確認されている。

世界はこれをドラゴンズゲートと呼び、各国はこのゲートに防衛線を張った。
一度出現したゲートは閉じる事もあれば新たに出現する事もありその増減は不規則である。

世界に多くの被害をもたらした一方でドラゴンの鱗や牙などの物質は人類の文明を飛躍的に向上させ、その中でも心臓にあたる核「コア」とよばれる球状の物質は身に着ける事により人間の能力を超越した力を得る事の出来る代物であったため、コアの保有数が直接国力に影響したのは言うまでもなく、より多くのコアを求め人間同士でも争いが起こる事もあった。

かくして人間とドラゴンとの戦いの歴史が始まったのである。

第1話

今から50年前、京都




 五重の塔のその頂上に一人の男が立っていた。


 見た目は30歳ほどだが、鍛えているであろう膨れ上がった筋肉が服の隙間から除いている。




「神の書の記載が正しければそろそろの筈だが・・・」




【神の書】ドラゴンの出現とほぼ同時に世界中に広まった


 これから起こる災厄が記されている筆者不明の書物である。当初は誰かの悪戯と思われていたが、記載されている内容がことごとく現実のものとなったため世界各国はこの書物に書かれた災厄に対応するために協力体制をとっていた。




 今回の召集は【神の書】に今まで確認されているドラゴンのクラス4を越える


 クラス5の出現が記載されているためである。


 災厄の場所は【アメリカ】【インド】【中国】【ロシア】【イタリア】【エジプト】


 そして【日本】の7カ国と出現都市の記載はあるが


 肝心のクラス5の出現場所の記載は無く各国は対応すべく、それぞれ最高の厳戒態勢を敷いていた。




「黒田先生、出現はまだでしょうか・・・?」




 黒田と呼ばれた筋肉男が振り返ると、そこには2人の男性と3人の女性が立っていた。




「油断するなよ誠」




「はい、分かっていますがしかし・・・」




「まったく、あんたは心配しすぎなのよ。そんなんじゃ持たないわよ?」




 隣に立っていた白髪が腰あたりまである女性が声をかける。




「う・・・うるさいな雪乃!」




誠はすかさず言い返す。




「まったく、でか乳は逆に緊張感が無さ過ぎだのう・・・」




 雪乃の隣に立っていた、小学生程度の身長の女性がそう言い放つ。




「何ですって~!? この大体、チビで貧乳で年下のくせして生意気なのよ桜!」




「チビ貧乳だと・・・それを言ったら戦争でしょうが!!!」




 2人は向き合って拳を構える。




「おい、醜い争いはやめないかブス共」




 長身で細身の男が2人を制止した。




『誰がブスですって守重!?』




 2人は揃って守重と呼ばれた男に身構える。




「やるのか?」




 守重も腰に携えた日本刀に手を添え、構える。




「まぁまぁ・・・みんな落ち着きなさい」




 3人を制するように、白い着物を着用し腰まである美しい黒髪を後ろで結わえた1人の女性が歩み寄る。年齢は30を越えているが、その見た目は実年齢より遥かに若く見える。




「雪乃ちゃんも桜ちゃんも可愛いわよ? 守重君もひどい事言わないの」




「さすがは光先生は分かってらっしゃいますね!」




 雪乃と桜は目を輝かせ、光先生と呼ばれた人を見る。




「・・・で、もしクラス5が出現したら勝てるのかしら播磨さん」




 そう言いながら黒田の隣に歩み寄る。




「クラス4は過去に何度か退治しているが、初めてクラス4が出現した時は甚大な被害を被ったと聞いた。クラスが1上がると強さの桁が違ってくる・・・クラス5ともなると正直想像出来ん」




 黒田は厳しい表情を浮かべる。




「それに、クラス5がどの型かが問題だ」




 ドラゴンが出現してから現代まで登場したドラゴンにはある一定の固体の特徴があり、それらを区別し対応するために複数の【型】に分類された。




 大きな翼を持ち空中戦を得意とする【翼龍型】


 高い知能と首に長い鬣を持ち洗脳や脳波に影響を与えてくる【知龍型】


 硬い鱗に覆われ圧倒的硬さを誇る【甲龍型】


 鋭い牙や高火力の熱線を放射する高い戦闘力を持つ【戦龍型】


 その他出現数が少ないが様々な能力を持つ【特殊型】




「大丈夫です! どんなドラゴンでもこのメンバーなら絶対勝てますよ!」




 後ろから大きな声で誠が鼓舞する。




「ふっ・・・そうだな誠。このメンバーなら」




 そう言って黒田は後ろを振り向く。


 そこには使命に燃える若者が、目を輝かして黒田を見ていた。




 (本当に・・・逞しく立派にそして誠実に成長してくれた)




「よし! いい目だ! お前らの命確かに預かった!」




 黒田は気迫を込め言い放つ。




「はいっ!」




 そして黒田は更につけ加える




「そして・・・俺の背中はお前らに預けたぞ!」




「はいっっっ!!!」






 光が何時になく厳しい顔で正面の空間を睨み付ける。




「ーーー来ます!!!」




 光の声と共に空間に亀裂が入りそれが徐々に開き始めた。姿を現したドラゴンは全長50メートルはあるであろう大型のドラゴンだった。空気が張り詰め緊張が走る。




「翼龍型6枚羽・・・クラス・・・4か」




 黒田は呟く。




「播磨さん安心した? それとも少し残念かしら?」




 光が声をかける。




「半分半分だ。そんな事より」




 黒田は右手にはめてあるガントレットのバンドをきつく締め直す。


 その甲にはクラス4のコアが光り輝いている。




 黒田は皆の前に仁王立ちし言い放つ。




「討伐対称は翼龍型6枚羽クラス4! 対翼龍型陣形を敷き討伐を行う! 各自気を引き締めて作戦に当たれ! いいか・・・絶対生きて帰れ、以上だ!」




「はいっ!」




 一同は気合を入れ戦いへと挑む。



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