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毒親育ちの俺は、パパ活してると噂の美少女にお金で雇われて偽彼氏を演じてます!
毒親育ちの俺は、パパ活してると噂の美少女にお金で雇われて偽彼氏を演じてます!
朝陽千早
恋愛スクールラブ
2025年01月27日
公開日
5.2万字
連載中
主人公──川崎はある日、学年でも有名な美少女──水原から突然「彼氏役」を依頼される。
水原は過去の誤解や噂によって「パパ活をしている」という根拠のない悪評に苦しんでおり、それを打ち消すために「信頼できる彼氏の存在」を装いたかったのだ。彼女が提示した報酬は月に100万円。その高額な提案には、噂が原因で主人公が被るかもしれない被害への責任を取る覚悟が込められていた。

一見、堂々としているように見える水原だが、その裏では孤独と恐怖に苛まれ、誰にも本心を打ち明けられずにいる。
そんな彼女の本音を知った川崎は、彼氏役を引き受けることを決意。彼なりに、彼女の支えになろうとするが、噂や周囲の偏見は二人を静かに追い詰めていく。互いにぶつかり合いながらも少しずつ距離を縮める二人は、この偽りの関係をどのように乗り越えていくのか──。

プロローグ

『どうしてこんな簡単な問題も解けないの⁉︎ お兄ちゃんは解けてたじゃない! どうしてお兄ちゃんみたいにできないの⁉︎ そういえば昨日また隠れてゲームしてたわよね。わかったわ、そんなだからお兄ちゃんと違って出来損ないなのね。いい⁉︎ この問題解けるまでゲームはもちろん、寝るのもダメだからね。勝手に寝たら廊下に締め出すからね。わかったら今日中にこの問題集終わらせなさいよ!』


 俺の母親は有名な教育評論家だった。

 出版した本はベストセラーを飾り、教育に関する講演会を開けば数分と経たずに完売する。ゆえに世間からは教育のカリスマとして認知されている。


 だが、ウチの母親は教育のカリスマではない。

 自分の教育が素晴らしかったのだと誤解して、自惚れ、付け上がってしまうほどに俺の兄貴は優秀だっただけだ。


『どうしてあなたはそんなに出来ないの? お兄ちゃんは塾にも行かないで、自分一人の力だけでアメリカの大学に行ったのよ? それなのにあなたときたら塾にも行かせて家庭教師もつけて……ほんと、信じられない。本当に私の子なのかしら……』


 兄貴が成長していくにつれて、母親はもう一人優秀な人間が欲しくなったらしい。

 それで生まれたのが俺だった。しかし、俺は兄貴とは違った。


 勉強も運動も、絵心も音楽も、特に秀でたものはない。

 いくら努力しても天才には敵わない。凡人だ。


 幼稚園受験に失敗し、小学校受験に失敗し、中学受験に失敗し、高校受験に失敗した俺に、ついに母親は興味を失った。


『もう、あなたには何も期待しないわ。もう出てって。顔も見たくない』


 かくして義務教育の終わりを機に、俺は母親から捨てられた。

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