二〇一七年七月十七日。

　調子は上々だった。二回戦、三回戦も順調に突破し、チームの一員として、そしてピッチャーとして活躍できることが、心から嬉しかった。

　試合後、クラスでも少しずつ人気者になれている気がする。みんなの期待に応えようと必死に投げている自分が誇らしい。

　また家でも、母が喜んでくれて、心から幸せを感じていた。

「昔の光に戻ったみたい」と言って、安心した顔を見せる母を見て、さらに力が湧いてくる。

　確かに、昔は少年野球の都大会に出ることを目指して、勝つために全力を尽くしていた自分がそこにいた。その感覚を久しぶりに取り戻している。

　ただ、思わぬところで厄介な問題が発生した。期末テストが学園祭の後に控えているというのが、どうしても納得できなかった。

　学園祭でクタクタになっているはずなのに、その後で勉強なんて本当にきつい。なんでこんなタイミングで期末があるのか、スケジュールがどうしてこんなに狂っているのか。愚痴の一つも出そうになったけれど、もう仕方がない。

　それでも、意外にも得意な科目があった。それが日本史。小さい頃に新宿の本屋で母に買ってもらった、日本史の漫画を何度も読み返していたおかげで、他の科目に比べて点数が高かった。

　でも、あまりにも良い点を取ったので、日本史担当の高橋監督から「カンニングしているのでは？」と疑われる始末。それも今となっては、良い思い出だ。