二〇一七年七月八日。
初戦が始まると、予想外の展開が待っていた。
東さんがデッドボールを食らった瞬間、胸に衝撃が走った。
そして反射的に、心の中で「来た……」と確信が芽生えた。
(出番が来たんだ)
驚きと共に、嬉しさが胸に込み上げてきた。自分の変わった身体に戸惑いながらも、それでも、この感覚がたまらなく好きだ。
日常の煩わしさや、面倒くささが一切入ってこない。俺だけの、最高のステージ。
アドレナリンが全身に流れ、緊張と興奮が入り混じったまま、信二からボールを受け取る。
信二が心配そうに、「大丈夫か?」と目で問いかけてくる。
俺はその目を見返し、力強く答える。
「大丈夫です」
その瞬間、すべてが自分のものになるような気がした。
(あぁ……。ようやく、帰って来られた)
あの時のヒリヒリした感覚、久しぶりに感じる高揚感。
この瞬間を、ずっと待ちわびていた。
誰にも邪魔されず、この一瞬を思い切り生きるんだ。
「ズバッ!」
「ストライク!」
もう体中から、笑いがこぼれそうだった。俺は心の中で叫んでいた。
てめえら、圧倒してやるわ、この野郎。