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巨乳戦記 ~The saga of ΛΛ~ 本気の宇宙戦記を書きたいが、巨乳も好きなのだ
巨乳戦記 ~The saga of ΛΛ~ 本気の宇宙戦記を書きたいが、巨乳も好きなのだ
砂嶋真三
SF宇宙
2025年01月26日
公開日
71.3万字
連載中
WEB小説「巨乳戦記」を愛する男は、目覚めると太陽系を治めるモブ領主になっていた。
蛮族の艦隊が迫る中、夢だと思い込んだ男は、原作知識を活かし呑気に無双する。
巨乳秘書、巨乳メイド、巨乳艦長、そしてロリまでいる夢の世界であった。

――と言いつつ、割とガチ目の戦争する話なのです。

・あんまり科学しませんので、難しくないです。
・巨乳美女、合法ロリ、ツン美少女が出ますが、えっちくありません。
・白兵戦は、色々理由を付けて剣、槍、斧で戦います。
・艦隊戦は、色々理由を付けて陣形を作って戦います。
・わりとシリアスに残酷なので、電車で音読すると捕まります。
・何だかんだと主人公は英雄になりますが、根本的には悪党です。

書いている本人としては、ゲーム・オブ・スローンズ的な展開かなと思っています。

第1話 著作権侵害により天罰が下る。

  『巨乳戦記 ΛΛ』


 共著者の強い意向により、改題せぬまま世に出す運びとなった。


 ソフィア・ムッチーノ/シンゾウ・スナジマ共著


 ◇


 秋川トオルは、ごく普通の会社員だった。


 温厚な性格で、至って真面目な男であり、常識も分別もある。

 インドア派とはいえ、幼少期から続けている剣道は今でも道場に通っていた。


 そんな彼には好きなモノ――いや異常に愛するモノが二つある。


 ひとつは架空戦記小説だ。

 未来の宇宙が舞台であればなお良し。


 もうひとつは――巨乳である。


 とはいえ、後者の嗜好しこうについては公にしていない。

 心秘かなたしなみというわけだ。


 そんな彼が、天啓のように出会ってしまったWEB小説があった。


 『巨乳戦記』 砂嶋 真三 著。


 帝国歴2800年――。


 銀河に版図を拡げた人類が覇権を争う戦記小説だ。

 端的に言えば銀●伝の劣化版なのだが、ほとんどの女性キャラが巨乳という特徴がある。


 どこに需要があるのかという内容なので当然ながら人気は無かった。

 文章や展開も稚拙だったかもしれない。


 だが、秋川トオルはこの物語を愛した。


 自分が夢に見た世界なのだ。

 この世界に入り、活躍する己を妄想しつつ読みふけった。


 エタらせては不味いと思い、フォローをしポイント入れレビューを書き毎話感想を送った。


 とはいえ、たった一人の力では限界がある。

 徐々に更新ペースは落ちていき、遂には二年以上放置状態となった。


 エタったのだ。


 秋川トオルは哀しみにくれた。

 作者がエタった時、その世界は死ぬ。


 さらに衝撃的だったのは、『巨乳戦記』をエタらせておいて別作品を書き始めたことだ。

 異世界恋愛ファンタジーだったのだが、それすら半年前にエタっている。


 ――こうなったら、自分で続きを書くほかないッ!


 謎な使命感にたぎった彼は、作者である砂嶋真三にDMを送る。


 愛する『巨乳戦記』の続きを書かせてくれ、と。

 何度も何度も送った。熱烈な作品への愛と共に――。


 だが、何の音沙汰もなく日々は過ぎていく。


 砂嶋からの返事を心待ちにしつつ、彼は書き始めていた。

 勝手に書いている続編のタイトルは『巨乳戦記 Λ』である。


 仕事が終わり家に帰れば、寝食を忘れ妄想を膨らませ物語を紡ぐ。


 最近では、夢にまで『巨乳戦記』が現れる。

 書く事は苦痛ではないし、夢でもその世界で遊べるのだ。


 控えめに言って、至福。


 文法も、設定すら一部破綻してしまったが、それでも秘かに五十万字ほど書き溜めた。


 こうなると、どうしても公開したくなる。

 人に見せたくなってしまう。


 そこで、彼は一線を超える決意をした。

 作者である砂嶋真三の許可を得ぬまま、勝手に書いた続編をアップするのだ。


 迷いも躊躇いも罪の意識もある。


 というより、とてつもなくネットで叩かれるだろう。

 あるいは訴訟沙汰になるかもしれない。


 だが、『巨乳戦記』という素晴らしき世界を、灰塵かいじんに帰す訳にはいかないのだ。

 こうして、彼の作品への異常な愛は、道徳と法治を凌駕してしまった。


「――よ、よし――公開を――」


 あとワンクリックでアップされるというその瞬間の事だった。


 軌道上にひと筋の閃光が現れる。

 その光は、秋川トオルが暮らすマンションの一室を打った。


 辺りを揺るがすほどの轟音が響いた後、部屋の灯りが消える。

 身寄りのない彼の失踪が判明するのは翌週の事となった。


 ――天が下した罰だったのかもしれない。


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