17☆えんやこら
始業時刻に遅れて歩いていると、前方に彩菜ちゃん発見。
またか。どーしたもんかな。
でも、なんか様子がおかしい。登校路から外れた公園に入ってゆく。
ブランコに揺られて、魂が抜けたような表情。
「あーやな、ちゃん」
「きゃあ!」
背後から近づいた私にびくっとする。
「そのー、えんやこら、の方はどうなってるの?」
「残念だったわね。もうお金、巻き上げられないわよ」
「その節はごめん」
「別にいいわよ。笑ったらいいわ。もうなにもかも馬鹿馬鹿しくて!」
ポロリ。彩菜ちゃんが泣いている。
「なにがあったの?」
「坂崎さんに奥さんと子どもがいたの!」
あー、ありそうっちゃありそうな話。
「騙されちゃったのね」
「結婚しようって言われてたから高校も中退する気でいたんだけど……」
それで投げやりだったのか。
「ねえ、彩菜ちゃん。星学は嫌い?」
「なんで?」
「学校に真面目に通って勉強するのよ!今からならまだ追いつくはずだし、自分が将来なりたいものを探して打ち込んでみなさい!」
「でもどっちにしろ退学になりそうだし……」
「だったら、予備校に行ったら?」
「あんたなんでそんなに世話焼きおばちゃんみたいなこと言うの?」
「世話焼きおばちゃんだからよ!」
彩菜ちゃんが鼻白む。
「よく考えてみて」
私は公園をあとにした。