目次
ブックマーク
応援する
2
コメント
シェア
通報

第18話

17☆えんやこら


始業時刻に遅れて歩いていると、前方に彩菜ちゃん発見。

またか。どーしたもんかな。

でも、なんか様子がおかしい。登校路から外れた公園に入ってゆく。

ブランコに揺られて、魂が抜けたような表情。

「あーやな、ちゃん」

「きゃあ!」

背後から近づいた私にびくっとする。

「そのー、えんやこら、の方はどうなってるの?」

「残念だったわね。もうお金、巻き上げられないわよ」

「その節はごめん」

「別にいいわよ。笑ったらいいわ。もうなにもかも馬鹿馬鹿しくて!」

ポロリ。彩菜ちゃんが泣いている。

「なにがあったの?」

「坂崎さんに奥さんと子どもがいたの!」

あー、ありそうっちゃありそうな話。

「騙されちゃったのね」

「結婚しようって言われてたから高校も中退する気でいたんだけど……」

それで投げやりだったのか。

「ねえ、彩菜ちゃん。星学は嫌い?」

「なんで?」

「学校に真面目に通って勉強するのよ!今からならまだ追いつくはずだし、自分が将来なりたいものを探して打ち込んでみなさい!」

「でもどっちにしろ退学になりそうだし……」

「だったら、予備校に行ったら?」

「あんたなんでそんなに世話焼きおばちゃんみたいなこと言うの?」

「世話焼きおばちゃんだからよ!」

彩菜ちゃんが鼻白む。

「よく考えてみて」

私は公園をあとにした。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?