14☆痴漢
学校から駅までの道をふらふらよたよた。途中、ひと気のない場所に差しかかる。
ドルルルル……。
排気音。バイクかな?早く追い越してくれればいいのに、のろのろ背後から近づいてくる。
「!?」
一瞬、何かわからなかった。
胸を触られてる!!
バイクの男を見ると、フルフェイスのヘルメットで顔がわからない。
「……っなにすんのよ!」
持っていた鞄で男の背中を一撃。睨みつける。
ゆっくり前に走り出すバイク。
追いかけてって横から蹴り入れたろか!バイク壊れたらいいのに!
待って待って。冷静に。男が逆上したらしずくちゃんが危ない。
次の角から人が来て、男は慌てて逃げてった。
悔しい!
非力な高校生を狙って、最低野郎。
頭に血がのぼる。
駅に着くとしばらくしてからお兄ちゃんが来た。
「今日は大丈夫だったか?」
「それがね、もう踏んだり蹴ったりで」
「大変だったな」
頭をくしゃっと撫でてくれる。健一くんはいいお兄ちゃんだ。
「私、男の人大嫌い!だけど、お兄ちゃんは好き」
「おいおい」
お兄ちゃんは複雑そうな表情だった。
「そういえば、学校にセキセイインコの迷い鳥がいてね、うちで飼っていい?」
「セキセイインコ……。お前喘息持ちだから反対」
「えー」
しずくちゃん。知らなかったよ。
「言葉を喋ってね、とっても可愛いの」
「うん。……でもダメ。我慢しろ」
「わかった。……そういえば、500円玉一枚でどうやってやりくりしてる?」
「友だちにたかってるよ」
「そうよねー。じゃなきゃやってけないよね」
「代わりに使いっ走りとか宿題見せたりとかきついけどな」
そっか。私も頭使わなきゃね。